[平成22年(2010年)12月時点]通貨選択型投信の誕生と第二次高分配投信ブームの始まり

 リーマンショック以降、大きく下落した市場の反発を狙うという思惑から設定されたのが通貨選択型投信だ。利回りが急上昇したハイイールド債券や新興国債券に、ブラジルレアルなどの新興国通貨を組み合わせた複雑な仕組みの投信が誕生したのだ。極めつけは、毎月の分配金が100円、200円を超えるといううたい文句が投資家を熱狂的にさせた。第一次毎月分配投信ブームの象徴であった「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は、順位こそ1位を維持するものの、その純資産はピークから半減していた。

 資産運用の世界には、「リスクとリターンはトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のこと)」という言葉があるように、安定的に高利回りが期待できる投資先など存在しない。

 年間10%、20%を超える利回りが期待できる投資先は、それだけ高いリスクを負っているということだ。ブラジルレアルに代表される高金利通貨は、リーマンショック直後は一時的な急反発が期待できたものの、それはいつまでも続くものではなかった。超高分配の通貨選択型投信に群がった投資家は、為替市場が大きく変動する中で大きな為替差損を被り、高額な分配金により投資元本を大きく取り崩すこととなった。