[平成28年(2016年)12月時点]海外REIT人気と第二次高分配投信ブームの終わりの始まり

 超高分配投信が設定から数年で分配金を引き下げ、投資元本を大きく取り崩す中で、投資家の資金は矛先を変えた。今度は米国経済の回復の恩恵を受ける米ドル建て資産だ。中でも相対的に高い分配金を払い出す海外REITに人気が集まった。当時、米国REIT市場は100兆円程度の規模であったが、日本の投信経由の資金が10兆円を占めていたことをご存知だろうか。

 グローバル市場全体で見て、REIT市場というのは株式市場の10分の1程度の規模といわれている。そのREIT市場に投資するファンドが、純資産上位10本のうち6本を占めるというのは、グローバルな投資家から見たら異常に映るのではないだろうか。

 毎月分配型投信の弊害の一つとして、市場の後追いになる可能性があげられる。高い分配金を出しているということは、それ以前に大きなリターンが得られた(大きく市場が上昇した)ということだ。

 そして、過去に得られたリターンは、以前から投資している投資家の利益であって、新しく入ってきた投資家の利益にはならない。まさに、海外REITが良い例(悪い例)で、多くの投資家がREIT市場が横ばいとなった2015年~2016年の間に購入しているのではないだろうか。

 市場が横ばいの中で、高い分配金を払い出しても、それは投資元本を取り崩していることにほかならない。通貨選択型投信から海外REITへという流れは、高い分配金を追い求めた投資家の動きが反映されたものと思われるが、分配金を追い求めると市場を高値つかみし続ける可能性があることを知ってほしい。