トヨタ減益予想

 トヨタ自動車(7203)は5月8日、前期(2024年3月期)決算を発表するとともに、今期(2025年3月期)の業績予想を発表しました。

トヨタ自動車の連結純利益:2021年3月期~2025年3月期(会社予想)

出所:トヨタ決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 前期の純利益は、前々期比101%増の4兆9,449億円で、最高益を大幅に更新しました。ところが、今期の純利益(会社予想)は前期比マイナス1兆3,529億円(マイナス27%)の3兆5,700億円としています。

 前期は、円安・コロナ禍からの販売回復・半導体不足解消による生産回復・ハイブリッド車の販売好調などの追い風が重なり、出来過ぎの決算だったといえます。今期予想は低めに出してくるのはいつものことで驚きはありません。また、今期の純利益予想3兆5,700億円は、十分に高い予想ですが、それでも前期と比較するとマイナス27%と減益率が大きくなります。

 トヨタ自動車の今期営業利益(会社予想)は前期比マイナス1兆529億円の4兆3,000億円です。同社説明によると、今期の営業利益の減少(マイナス1兆529億円)のうち、市場環境などの影響はマイナス3,529億円だけで、残りはモビリティカンパニーへの変革に向けた投資によるものとしています。

 内訳は、マイナス3,800億円が「人への投資」、マイナス3,200億円が「成長領域への投資」です。

 前向きな投資による減益が大きくなると解釈できます。また、単に保守的な業績予想を出しているだけとも取れます。

どうなる日経平均?

 次に、円高が進む可能性や、米国株が調整リスクなどを考慮して、日経平均の上値は重くなりつつあります。東証プライムの今期業績(会社予想)が現時点の集計で減益となっていることも、警戒材料となっています。日本株は、短期的には、スピード調整のリスクを警戒した方がよいと思います。

 日本株は割安で、長期的には上値余地が大きいと考えていますが、目先、円高に反転する時や、米国株が下げる時は、ショック安となるリスクもあり、注意が必要です。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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