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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
円高でも日経平均は崩れない?景気・企業業績は良好

ドル円為替レートが大荒れ

 ゴールデンウイーク期間中、ドル円為替レートが大荒れとなりました。それが日経平均株価にどういう影響を及ぼすか、私の意見を述べます。

 その前に、まず、ドル円為替レートの動きを振り返ります。ドル円は、ゴールデンウイーク直前の4月29日(月)に一時1ドル160.15円(出所:QUICK)を付けました。34年ぶりの円安水準です。ゴールデンウイーク後半の5月3日(金)には一時151.86円(出所:QUICK)まで円高が急進しました。まず、その背景から説明します。

ドル円為替レート5分ごとの推移:4月23日7時~5月6日10時45分(日本時間)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】4月26日、日銀金融政策決定会合の結果発表後から円安進む

 4月26日(金)の昼、日本銀行の金融政策決定会合の結果が発表されました。事前の予想通り、利上げはなく現状維持でした。利上げなしは市場予想通りでしたが、そこから1ドル=158円台に円安が加速しました。

 円安進行を抑えるために、日銀から先行きの利上げについて何らかのメッセージが出ると思われていましたが、日銀からタカ派的発言は出ませんでした。植田和男総裁が26日(金)の記者会見で円安が「基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていない」と発言したことから、「日銀はハト派」と解釈され、円安が進みました。

【2】29日に1ドル160円超えた直後に、急激な円高進む

 29日(月)、日本が祝日でドル円の取引が少ない中、投機筋から仕掛け的なドル買い(円売り)が入りました。一時1ドル=160.15円(出所:QUICK)まで円安が進みました。

 その直後から急激に円高に反転しました。政府・日銀による替介入があったことはほぼ間違いありませんが、正式な発表はありません。

【3】5月1日、FOMC結果発表後に、急激な円高進む

 5月1日(水)(日本時間では2日(木)の未明)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。政策金利であるFF金利は5.25~5.5%に据え置かれました。金利据え置きは市場予想通りでした。市場の注目は、FOMC後にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が記者会見でどのようなメッセージを出すかに集中しました。

 パウエル議長は、インフレ低下の進展が見られるまで金利を据え置くことを示唆し、市場の早期利下げ期待を否定しました。市場の一部で取りざたされた利上げの可能性は否定したものの、総じてハト派とは取れないトーンでした。

 にもかかわらず、その直後、東京明け方に、急激な円高が進みました。政府・日銀による為替介入第二弾が入ったことは確実ですが、正式な発表はありません。

【4】5月3日、米雇用統計発表直後に、151.86円まで円高進む

 3日(金)、4月の米雇用統計が発表されました。一番注目度が高い非農業部門の雇用者数(前月比)は17.5万人増で、事前の市場予想(24万人増)を下回りました。20万人以上の増加だと米景気は好調と判断されますが、それをわずかに下回りました。失業率は、3.9%で前月より0.1ポイント上昇しました。

 米雇用が強い状態に変わりはありませんが、雇用軟化の兆しが少し見えたことに反応し、一時151.86円(出所:QUICK)まで円高が進みました。

米雇用統計:非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年4月

出所:米労働省

米雇用統計:完全失業率:2021年1月~2024年4月

出所:米労働省