介入で円安は止められるか?

 正式な発表はありませんが、ゴールデンウイークに2度の為替介入があったのはほぼ確実です。介入効果で、いったん円安に歯止めがかかった形です。

 介入は、為替に対して一時的な効果しかなく、介入で為替は変えられないという意見もあります。その通りだと思います。長期的には、為替はファンダメンタルズで決まるフェアバリュー(妥当水準)に収れんしていくと考えられます。

 ただし、為替が投機筋によって行き過ぎた動きをしている時に介入が入るならば、話は別です。介入は、投機筋の行き過ぎた動きを抑えるのに効果的です。ゴールデンウイークの介入が大きな効果を発揮したのは、これまでの円安に投機筋が相当関与していたためと考えられます。

 日米金利差だけを見ると、さらに円安が進むとの見方もありますが、為替は日米金利差だけで決まるものではありません。日米の物価差など、円安が過度に進展したと考えられる現象もみられます。4月に付けた1ドル=160円超えが、投機筋の行き過ぎた動きによるものだとしたら、今回の介入が、円安歯止めの立役者となることもあり得ます。

 今後、為替市場では、二つの動きが交錯すると考えられます。

【1】介入で円安に歯止めがかかったことで、どこまで円高に戻るかを試す動き
【2】介入の効果は一時的と考えて、さらなる円安を試す動き

 介入で円安が止まったか、時間がたたないと明確には判断できません。私は、円安は行き過ぎていたと見ているので、今回の介入が転換点になる可能性はあると考えています。

どうなる日経平均?

 次に、円高が日本株に及ぼす影響を考えます。今年になってから、円安が外国人の買いを呼び込み、日経平均急騰につながってきたことを考えると、円高反転は、日経平均が短期的に下落する要因になると思われます。短期的には、スピード調整のリスクを警戒した方がよいと思います。

 ただし、日本の景気・企業業績が良好であることを考えると、深押しはないと思います。仮に1ドル=140円前後まで円高が進んだとしても、日本の企業業績が良好であることに変わりはないと考えています。

 3月決算の発表が終盤に入りますが、終わったばかりの2024年3月期実績は良好です。新年度(2025年3月期)の業績も、以下の通り、良好と予想しています。

東証プライム3月期決算主要841社の連結純利益(前期比%):2020年3月期~2025年3月期(予想)

出所:予想は楽天証券経済研究所

 日本株は目先、上値が重い展開と考えられますが、日本の景気・企業業績は良好で、さらなる下値リスクは大きくはないと考えています。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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