国際金融資本の自作自演(マッチポンプ)相場か!?

 今回のレポ市場の危機は、「JPモルガンがFEDをQEに追い込むために意図的にレポ市場の金利を高騰させたものである」という報道が出ている。

 9月上旬から、JPモルガンの政府専用のマネーマーケットファンドは、オーバーナイト市場から資金を引き上げ始めたのである。マーケットに突然流動性がなくなったため、レポ市場において一夜にして金利が急上昇するという危機が起こった。

 民主党の大統領候補のフロントランナーであるエリザベス・ウォーレンは、ムニューシン財務長官に書簡を送った。短期金利が急上昇を引き起こした理由に疑問を持つウォーレンは、FEDや財務省に対して「JPモルガンを調査せよ」と、要求している。

エリザベス・ウォーレンがムニューシン財務長官に送った書簡

出所:ゼロヘッジ

「短期金融市場が変調に見舞われた際、JPモルガンにはそれを沈静化させるだけの資金も意思もあったが、規制によってそれが阻まれた」と、JPモルガンのダイモンCEOは反論している。

 しかし、以下の記事を読むと、レポ金利急上昇はJPモルガンやゴールドマンがバブル延命のために金融当局と仕組んだ自作自演の『隠れQE』作戦であったことがうかがわれる。

ムニューシン米財務長官、銀行規制緩和の検討は「理にかなう」
(2019年10月30日 ブルームバーグ)

 ムニューシン米財務長官は金融危機後に大手銀行に対して厳格化された流動性規制について、短期金融市場での資金不足に備えて緩和する用意があることを示唆した。

 ムニューシン氏は29日のインタビューで、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やその他銀行と、流動性問題を回避する方法について協議したと明らかにした。11日間の中東・インド歴訪で最初に訪れたテルアビブで、「銀行からは日中流動性を巡る問題が指摘されており、これを規制当局が検討するのは理にかなう」とコメント。現行の規制枠組みでもリスクを高めることなく日中取引の流動性を高めるうまい方法が存在するかもしれないとした。

 ムニューシン長官は先月のレポ市場の混乱について、法人税支払期限に絡んだ銀行システムからの資金流出という「技術的な問題」が主因だとする一般的な認識を示した。この機能障害を受けて、米金融当局は資金注入を続け、短期金利の上昇を抑制している。

 長官は混乱を招いた技術的な要因を金融当局が解決したと確信していると述べ、再燃しないとの見通しを示した。さらに、規制関連の問題はいずれも、これとは別個の問題だと指摘した。

 ただ銀行からは、金融危機後に導入された厳格な流動性要件が市場混乱要因の一つだったとの指摘がある。短期金融市場が変調に見舞われた際、JPモルガンにはそれを沈静化させるだけの資金も意思もあったが、規制によってそれが阻まれたと、ダイモン氏はこれまでに述べている。

JPモルガン・チェース(日足)

出所:石原順

 JPモルガンのダイモンCEOは、「9月中旬のレポ金利急騰はリーマンショック(金融危機)後の規制が問題だ」と主張し、ワシントンを走り回っているといわれるが、運用者の間では「PPT(市場の急落を阻止するチーム)とFEDによる自作自演相場だ」と言われている。