金融相場復活の効果?米国でIPO銘柄の見直し進む
前述した金融ストレス低下や流動性期待の改善で株式市場における物色もやや変化しています。米国市場では、流動性の悪化・改善から影響を受けやすいIPO(新規公開企業)銘柄群の株価が回復を強めています。
図表3が示す「ルネサンスIPO指数」(Renaissance IPO Index)は、米国のIPO調査会社ルネサンス・キャピタル・インターナショナルが算出している株価指数で、過去2年以内に新規上場された銘柄のうち時価総額上位8割の銘柄で構成されています。そのリスク特性も災いし、昨年は10月から年末にかけ急落を余儀なくされましたが、本年は金融(流動性)相場復活を象徴するように「IPO銘柄の見直しが強まってきた」ことを示します。
2019年の米国市場では、ライドシェア大手のリフトやウーバー、宿泊サービスのエアビーアンドビー、オフィスコミュニケーションツールのスラック、シェアオフィスのウィーワーク、画像サービスのピンタレストなどの大型新規上場が注目されています。
図表3: 米国市場でIPO銘柄を見直す動き
こうしたIPO銘柄の株価回復は世界市場でみられています。
図表4は、日本のIPO株価指数(FTSEルネサンス日本IPO株価指数)について、過去1年の推移をTOPIXと比較したものです。国内のIPO市場も、昨年秋以降の相場低迷に12月の「ソフトバンク・ショック」が加わり低調となりましたが、本年は下値を切り上げる動きがみてとれます。例えば、昨年6月に東証マザーズに上場を果たしたメルカリ(4385)の株価は年初来+69.4%(3月20日)と復調を鮮明にし、市場平均(TOPIXや日経平均)を大きく上回っています。
IPO銘柄は、当初の人気と需給次第で売り出し直後に株価が急上昇する場合があります(初値が売り出し価格を下回る場合もあります)。利益確定売りが先行した後はいったん低迷する場合も多く、その後は業績見通しやバリュエーション次第で株価が持ち直す場合がみられます。
TOPIXや日経平均で主軸を担う時価総額大手銘柄や値嵩株にはグローバル企業が多く、世界景気や外需の減速の影響に敏感で、指数先物の売買から受ける影響も大きいことが知られています。一方、IPO銘柄には独自のビジネスモデルで内需系が多い特徴があります。世界の金融相場が日本のIPO銘柄の見直しに繋がる可能性にも注目したいと思います
図表4: 日本のIPO市場も下値を切り上げる?
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