景況感の悪化で株式の上値は重い

 世界の主要国で景況感が鈍化し、米国と英国で政治的不透明感が増したことで、株式市場ではリスクオフ(回避)姿勢が上値を押さえる動きとなりました。1から2月に株価が反発した反動もあり米国株が一服に転じると、外国人投資家の先物買い戻しも一服。日経平均も上値の重い展開となっています。OECD(経済協力開発機構)が発表する主要国(地域)の景気先行指数は下方傾向を鮮明にしています(図表1)。

 日本企業の外需環境が悪化するなか、米国株が調整する場面では、日本株も劣勢となりやすい状況です。一方、年初から低下していた「米国経済政策不確実性」(U.S. Economic Policy Uncertainty Index)も上昇に転じ、(世間や投資家が抱く)米国の経済政策や財政政策を巡る不安が再び強まっていることが示されています。

 中国市場(株式と人民元相場)も回復の勢いが一巡し、英国のEU離脱問題も予断を許しません。株式が4月に向け下値を切り上げるには、以下4項目のうち、複数を目にする必要がありそうです。

(1)米中で貿易摩擦を巡る交渉が具体的に進展する
(2)先週の「全人代」で中国共産党が発表した景気浮揚策の効果で中国景況感が底入れをみせる
(3)米国の経済指標が景気の底堅さを示す
(4)EUが英国のEU離脱期限(3月28日)延期で合意する

 日銀が15日の政策決定会合で追加的な金融緩和措置を決定することになれば、国内株式の支援材料となりそうです。

図表1:世界の景況感悪化が日本株の重石

*景気先行指数=OECD Leading Economic Indicator (2019年1月迄)
出所: OECD(経済協力開発機構)、Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2012/1~2019/2)