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「円相場は調整局面入り、年明け後の米国株式相場は下落を回避できるか?」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「円相場は調整局面入り、年明け後の米国株式相場は下落を回避できるか?」

2016/12/29
先週のレポートに、「来年1月20日のトランプ就任までは<トランプ期待相場>が続くが、筆者は12月中に株式の買いポジションを最低でも半分は利食いする方針である。これまでセミナーやラジオ番組等でも、NYダウは19,000ドルを超えると20,000ドルまで一気に上がる可能性がある。相場がそのような展開になれば、12月中にいったん買いポジションを利食いすると申し上げてきた」と書いた。
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やはり、12月はいったん利食いの月か?

先週のレポートに、「来年1月20日のトランプ就任までは<トランプ期待相場>が続くが、筆者は12月中に株式の買いポジションを最低でも半分は利食いする方針である。これまでセミナーやラジオ番組等でも、NYダウは19,000ドルを超えると20,000ドルまで一気に上がる可能性がある。相場がそのような展開になれば、12月中にいったん買いポジションを利食いすると申し上げてきた」と書いた。

筆者はNYダウなどの株価インデックス先物の買いポジションと円通貨ペアの円売りポジションのほとんどを、12月の相場で手仕舞ってしまった。米長期金利の上昇も一服しており、円相場は5日移動平均を割り込んで、<電車道相場>といわれた暴走相場はいったん終息した格好となっている。

米10年国債金利(日足) 米長期金利上昇も一服・・
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

米著名投資家ラリー・ウィリアムズは、12月26日の『ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)』で、「先週、日本円はほんの少し買われました(円高)が、今後はフォーキャスト(赤の線)どおりに上げてくるでしょう。そろそろ上昇(円高)に転じると思います。全ての買いシグナルではリスクを過剰にとってしまうので、気をつけてください。また、トレーリングストップを忘れずに使ってください。思惑どおりにマーケットが進まないことがあります。ストップはチャート上の黄色のエリアにおくとよいでしょう。12 月 16 日の安値あたりにストップを置くとよいと思います。日本円は、今、底値を固めてきていますが、ここから上にブレイクすると思います。ストップは忘れずに置いてください。ここから日本円は上昇していくと予測しています」と述べていたが、12月29日にドル/円は117円を割り込んできた。

シカゴIMM日本円通貨先物(日足)

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)12月26日・著作権の関係で画像の一部を隠しています。)

円安進行のエネルギー 円安相場には陰りが見えている

(出所:石原順)

筆者は先々週からブログやラジオ等で「クリスマスまでに利食い」と述べてきたが、円相場は想定通り調整局面に入っている。暴走相場の生命線は「5日移動平均線」で、以下のチャートは円相場の5日移動平均線チャートである。相場が5日移動平均線を割り込むと暴走相場終息の可能性は高まり、5日移動平均線(自体)が反転すると相場が調整局面に入った合図となる。

ドル/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

NZドル/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

カナダドル/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)と5日移動平均線(赤)

(出所:石原順)

現在の円相場はトレンドがピークアウトした後の調整局面?

トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクしたときだ。

ポンド/ドル(日足) トレンドの発生と消滅
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

当然"ダマシ"もあり、筆者は1年を通した相場で何度も痛い目にあっているが、だまされても±1シグマラインで決済(損切り)するので、壊滅的な損はしていない。何度か痛い目にあってもこの手法を使うのは、年に2回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いからである。

筆者は「大相場になるかも?」という期待値から、標準偏差ボラティリティが上昇し、相場がボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクした局面ではリスクを取っているのである。

一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

「標準偏差ボラティリティ」と同じような動きをする指標に、「ADX」(平均方向性指数)がある。ADX(Average Directional Movement Index)は、相場のトレンド(方向性)の強さを測定する指標だ。ADXはRSIやピボット、パラボリックと同じく、J・W・ワイルダーが考案したテクニカル指標DMIの中のトレンド判定指標で、通常はDMIと合わせて使われている。 RSIやストキャスティクスなどのいわゆる逆張り系指標がトレンド相場になると機能しない事から、ワイルダーはトレンドの強さをはかるための指標(ADX)を作った。

「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」が一緒に上昇する局面は、相場が強力なトレンドを持っている。日足にも週足にもトレンドが出ているときは、相場がとなることが多い。大相場になるかどうかの示唆は、週足のADXや標準偏差ボラティリティの動きに依るところが大きい。

相場の美味しいところは、標準偏差ボラティリティやADXが低い位置から上がっていく局面で、これを相場用語では「保ち合い放れ」・「レンジ・ブレイク」・「ボラティリティ・ブレイクアウト」などと呼んでいる。

順張り取引の「基本形」

  • トレンドの発生(保ち合い離れ)の判定方法
    26日標準偏差と14日ADXが共に上昇しはじめた時
  • 新規建玉のポイント
    エントリー(新規注文)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの外に飛び出した時
  • 損失を限定しつつ利益を伸ばす手仕舞いのポイント
    手仕舞い(エグジット)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの内側に入った時

これが、筆者の順張り取引の「基本形」である。

さて、現在の円相場の日足は、14日修正平均ADXと26日標準偏差ボラティリティがピークアウトし、両方とも下がっている通貨ペアが多い。これは、円相場の強烈な円安トレンドがいったんピークアウトして、相場が調整相場に入った可能性が高いことを示唆している。

標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。現在の相場は円安トレンドがピークアウトしているものの、円高トレンドが発生しているわけではないので、こうした調整局面は乱高下パターンになりやすく、場味のいいところで順張りすると、「売ってやられ・買ってやられ」という結果になりやすいので注意が必要だ。

ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

NZドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

カナダドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

年明け後の米国株式相場に注目!

【米国では20,000ドル乗せ後の相場展開をめぐって、強気と弱気が対立している。強気派は年明けとともに個人投資家が買いに動くとみている。年内に含み損を抱えた債券ファンドを売却し、損益通算によって税制上の利益を圧縮する投資家が多いが、今後、その売却代金を株式ファンドの買いに回すのではないかという。

弱気派はトランプ氏が株式のキャピタルゲイン課税を減税する方針を示しているため、「含み益を抱えた株式の売却時期を軽減税率が適用される年明け以降に先延ばしするのではないか」(大手証券)という。前者が多ければ、米国株はNYダウが20,000ドルに乗せた後も堅調に推移しそうだ。後者が多ければ、米国株は年明け後に軟調に転じる可能性が大きい。

ドル高・金利高が続くと、米国企業の収益が悪化する点も気になる。1年前もドル高と海外景気悪化を背景に米国の製造業の景況感が悪化した。2015年10月から16年2月までの5か月間、米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数が強気と弱気の分岐点の50未満で推移した。トランプ氏は米国企業に不利になるドル高を容認しない可能性が大きく、発言には要注意だ】(日経新聞電子版 12月21日マーケットコラム【マーケット反射鏡】『2万乗せが近づく株価、「掉尾の一振」期待高まる』編集委員 前田昌孝)

上記の日経新聞の記事にあるように、年明けの米国株の動向には市場の注目が集まっている。

NYダウ(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

米国企業収益の拡大・収縮と金利
「トランプの経済・財政(特に)政策で企業収益は改善されるだろうと無条件に楽観的になる前に、投資家は考慮すべきことがある。企業収益が賃金・金利と逆相関にあることだ。FF金利が上昇すると、企業収益は下げ圧力を受けるのだ」(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート 2016年12月号『大山鳴動して鼠一匹』)

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート 2016年12月号『大山鳴動して鼠一匹』)

2017年の1月はトランプラリーが期待から現実に変わる月である。ドル/円は3年連続で1月に急落(円高転換)しているので警戒は怠れないだろう。日本株の上昇は円安と連動しており、1月の相場反転には注意したい。

ドル/円(月足)と1月の相場転換 円安転換=青・円高転換=赤 3年連続円高に転換
来年の相場の鍵を握ると思われる20か月移動平均線(赤)

(出所:石原順)

日経平均(日足)
日本には多くのフォロワーがいますが、日経平均をご覧ください。赤線のフォーキャストラインにそって上げてきていますが、ここ数日中にピークをむかえるでしょう。年末に差し掛かってきていますが、そろそろ下げに転換する時期です。ストップはかなりタイトにして下さい。ここからかなり強い調整売りが入ってくると思います。(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)12月26日)

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)12月26日・著作権の関係で画像の一部を隠しています。)

読者の皆様が良い年を迎えられますことを、そして幸せな1年を送られますことを心よりお祈り申し上げます。

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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