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「通貨市場のテクニカル分析と目先の相場の注意点」
石原 順
外為市場アウトルック
数社の海外ファンド運用に携わる現役ファンドマネージャー・石原順のレポートです。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や豊富な海外情報ネットワークを用いて、為替市場のい…

「通貨市場のテクニカル分析と目先の相場の注意点」

2016/11/24
11月10日のレポートで「筆者は9月~11月の相場は乱高下相場になると述べてきたが、相場の大きな急落リスクは昨日の相場で終わったと考えている。昨日のトランプ勝利は買い場の転換点だったのではないだろうか・・。
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目先の相場の注意点は?

11月10日のレポートで「筆者は9月~11月の相場は乱高下相場になると述べてきたが、相場の大きな急落リスクは昨日の相場で終わったと考えている。昨日のトランプ勝利は買い場の転換点だったのではないだろうか・・。ファンド運用者の多くは、来年1月のトランプ大統領就任前後にかけて相場が波乱含みになるだろうと予測している」と書いた。現在も基本的な相場観に変わりはなく、来年の1月20日のトランプ大統領就任までは現実を無視した<期待相場>が続くだろう。

ドル/円相場は電車道相場となり暴走している。日銀が指し値オペを発動したので、米・日の長期金利差はさらに拡大するという思惑でドル買いが勢いづいているが、現在は円安相場ではなく、米国の事情でのドル高相場なので米国も黙っている。

米・日金利差とドル/円の推移
日銀の金利釘づけ(固定)政策の思惑から金利差が拡大

(出所:石原順)

問題は今後も円安が大きく進んだ場合、<10年国債利回りがゼロ%程度で推移するように国債を購入するという日銀のヘリコプターマネー的な相場操縦は、「円安誘導であり不公平である」と、ドル安論者のトランプが言いかねないことだろう。

目先の相場の注意点は?

目先の相場で注意が必要なのは12月4日(日)のイタリアの国民投票で、「ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)とドナルド・トランプ氏の後、ユーロ圏危機が戻ってくることに備えたほうがいい。イタリアの12月4日の国民投票で負けた場合、イタリアのユーロ圏参加に疑問を投げかける出来事が次々に起きる」と、FT紙が指摘している。

仮にイタリアで総選挙となれば反欧州連合(EU懐疑派)の「五つ星運動」が議会で勢力を拡大するとみられており、反グローバリゼーションの流れからEUやユーロ圏からの離脱問題がくすぶってくる。また12月4日はオーストリア大統領選のやり直し投票も予定されており、与党が支援する左派候補と極右候補の接戦となっている。

いずれにせよ、不公平感からナショナリズムやポピュリズムが台頭しており、イタリアの国民投票は日曜日なので、週明けの窓開けリスクを回避したいというリスク回避の動きが出てきてもおかしくない。あとは12月14日のFOMCがポイントになるが、11月23日時点で市場は12月利上げを93.5%織り込んでしまっており、いったん材料出尽くしとなる可能性がある。

CME FEDWATCH 12月利上げは織り込み済み

(出所:CME)

先週のレポートで、「昨年高値125円81銭から今年の安値99円00銭の下げ幅に対する38.2%戻しを達成しており、相場は半値戻し水準の112円半ばまで上昇してもおかしくないだろう」と書いたが、相場は昨日半値戻しを達成した。次は61.8%戻しの115円半ばが戻しの目処となるが、ドル/円相場は100円、105円。110円と5円ごとに相場の節目ができやすく、115円や120円は大きな抵抗となるだろう。通常、通貨安というのは悪い通貨安でない限り、一気に20円も動きはしない。現在の円安は悪い円安ではなく米国発のドル高、即ち、良い円安であり、その上昇にはおのずと限界があろう。

ドル/円(日足) フィボナッチのリトレースメントと移動平均のセンタリング

(出所:石原順)

相場の買われ過ぎや売られ過ぎを指摘する声が多いが・・

相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1σをブレイクしたときだ。当然ダマシ(失敗すること)もあるが、年2回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いので、リスクを取るに値する局面と言えよう。

一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

標準偏差ボラティリティと同じような動きをする指標に、J・ワイルダーの考案したADX(平均方向性指数)がある。標準偏差ボラティリティとADXが一緒に上昇する局面は、相場が強力なトレンドを持っている場面である。

相場の美味しいところは、標準偏差ボラティリティやADXや低い位置から上がっていく局面で、これを相場用語では「保ち合い放れ」・「レンジ・ブレイク」・「ボラティリティ・ブレイクアウト」などと呼んでいる。

現在の通貨市場の日足相場は、26日標準偏差ボラティリティと21日ボリンジャーバンドの±1シグマを確認すると、ポンド/ドルを除いてトレンド相場となっている。相場の買われ過ぎや売られ過ぎを指摘する声が多いが、そもそもトレンド相場とは、相場の買われ過ぎや売られ過ぎの先に発生する波動のことをいう。相場が±1シグマの内側に入ってこない限り、ポジションは放置するのがよいだろう。

ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ

(出所:石原順)

ドル/円相場は200日EMA(指数平滑移動平均線)をブレイク

相場の流れに逆らってポジションをとる<逆張り>を行った場合、損切り(ストップ・ロス)を入れなければ、壊滅的な損失を被る可能性がある。相場の転換点を当てようとする逆張り手法は、損切り(ストップ・ロス)を置かなければ機能しない。

筆者の周辺のファンドでは、フィルター付きの逆張り売買をしているところが多い。どういうフィルターが付いているかというと、「相場が200日指数平滑移動平均線を下回っている局面では押し目買いを休止、一方、相場が200日指数平滑移動平均線を上回っている局面では戻り売りを休止する」というものだ。それが、相場の急落や急騰から身を守る手段であり、急落や急騰に巻き込まれないためのアラート(警報)になっている。

下のドル/円(日足)のチャートでは、<200日移動平均線の下に相場がある時は押し目買いをしない・200日移動平均線の上に相場がある時は戻り売りをしない>というルールに基づいて、ストキャスティクス5.3.3(ストキャスティクスの考案者であるレーンのオリジナルのパラメータ)の売買シグナルを点灯させている。昨今の相場では相場の転換点をうまく捉えてくれているといえるだろう。現在のドル/円は200日のEMAの上にあるので、これからの相場では押し目買いが基本となる。

ポジションを手仕舞うポイントは、ストキャスティクスのシグナルで利食いをおこなう場合もあるし、利が乗ってきたらトレール注文的な決済をおこなうこともある。いずれにせよ、損切り注文を入れることは必須である。

ドル/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

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