7月「展望レポート」の2024年度実質GDP見通しは0.4%程度下振れか

 2024年度へのゲタは、GDP2次速報の改定前はマイナス0.5%でしたので、今回の改定によって0.3%ポイント下振れたことになります。

 従って、これを素直に受け取れば、経済予測を作成している我々エコノミストや日本銀行では、4-6月期以降の前期比のパスに変更を加えない限り、2024年度の成長率見通しを0.3%ポイント下方修正することになります(実際には2023年度も下方修正されているため、修正幅は多少ズレます)。

 現在、市場エコノミストの2024年度実質GDP見通し(ESPフォーキャスト6月調査)は前年比0.62%ですから、今回のゲタの変化を織り込むと、7月調査の見通しは前年比0.3%程度に修正されることになります。ちなみに、筆者の2024年度実質GDP見通しも、今回、前年比0.6%から0.3%に下方修正しました。

 一方、日本銀行の4月「展望レポート」の2024年度実質GDP見通しは前年比0.8%とやや強めの数字でしたから、次回7月「展望レポート」では0.4%ポイント程度下方修正されても不思議ではありません。

 そうした中で、「物価安定の目標」2%実現の確度が高まったから利上げすると言えるかというと、相当厳しいと言わざるを得ないでしょう。少なくとも8月15日発表の4-6月期実質GDPがプラス成長を回復するか、見定める必要があるように思われます。

6月の鉱工業生産指数は前月比マイナス6%程度の減少となる見込み

 また、6月28日には5月の鉱工業生産指数が経産省から発表されました(図表3)。結果は前月比2.8%と、2カ月ぶりのプラスとなりましたが、同時に公表された製造工業予測指数の6月の伸びはマイナス4.8%。経産省が統計上のバイアスを除去した補正値ではマイナス6.0%となりました。

 6月5日のレポート「自動車認証不正、景気回復シナリオに暗雲」で、6月の鉱工業生産指数は前月比マイナス6.5%程度まで下振れる可能性があるとの試算結果を紹介しましたが、7月31日に発表される実績値はやはりマイナス6%程度の下落となりそうです。

図表3 5月鉱工業生産指数と6月の予測指数

(出所)経済産業省、楽天証券経済研究所作成

 なお、国土交通省は6月28日、マツダとヤマハ発動機の3車種について、出荷停止指示を解除しました。トヨタ自動車への指示はまだ継続中ですが、自動車の7月の生産は前月比プラスを回復することが見込まれます。

 図表3に示した通り、7月の予測指数は前月比3.6%とやや高めの伸びとなっていますが、実際、8月30日に発表される7月鉱工業生産指数は、比較的高い伸びになると予想されます。逆に言うと、7-9月期の回復がみえてこなければ、日銀がもくろむ秋の追加利上げもままならなくなってしまいます。