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著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
自動車認証不正、景気回復シナリオに暗雲

 自動車などの量産に必要な認証「型式認定」を巡り、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの5社、計38車種に不正行為が発覚しました。国土交通省はトヨタ、マツダ、ヤマハ発動機の現在生産している6車種について、安全性が基準を満たしているか確認できるまで出荷を停止するよう指示しており、回復が期待される4-6月期の鉱工業生産への影響が懸念されます。

 以下では、今回の措置による鉱工業生産指数に与えるインパクトを、現時点で得られている情報を基にざっくり試算してみました。1-3月期の生産や消費に大きな影響を与えたダイハツ工業の例からも分かる通り、影響は決して小さなものではないようです。

4月の鉱工業生産指数の結果と予測指数による4-6月期の見通し

 最初に、経済産業省が5月31日に発表した4月の鉱工業生産指数から見ておきましょう。4月の生産は前月比マイナス0.1%と、2カ月ぶりに減少しました(図表1)。15%のウエートを占める輸送機械がマイナス1.1%と全体の足を引っ張りましたが、米航空機大手ボーイング社製の小型機の減産が響いたようです。

 ただ、予測指数は5月6.9%の増加、統計上のバイアスを経産省が調整した補正値でも2.3%の増加が見込まれており、6月の予測指数とあわせると、4-6月期は前期比2.2%になることが想定されています。

図表1 鉱工業生産指数の動向

(出所)経済産業省、楽天証券経済研究所作成

 ちなみに、予測指数の6月の前月比マイナス5.6%が気になりますが、減少幅の大きい業種を見ると、「生産用機械工業」マイナス20.7%、「電子部品・デバイス工業」マイナス5.2%、「化学工業」マイナス7.8%です。問題の「輸送機械工業」は、5月が14.5%の大幅増となった後、6月はマイナス4.8%となっています。