エヌビディアは決算発表で「次の産業革命が始まった」と宣言

 こうした中、今週最大のイベントとされていたエヌビディア(NVDA)の2-4月期決算発表(22日)が注目されました。生成AIやデータセンター向けGPU(画像処理半導体)で圧倒的シェアを誇るエヌビディアを、関連株への影響や波及度を勘案してゴールドマン・サックスは「世界で最も重要な銘柄」と呼んでいました。

 図表3は、エヌビディアの株価(左軸)と同社の予想EPS(Bloomberg集計による市場予想平均:右軸)の推移を示したものです。2022年に200ドル未満で推移していたエヌビディア株は、同年11月にマイクロソフトが提供した「ChatGPT」の革新性が火をつけ、エヌビディア株は2023年に3.3倍に。2024年に入っても90%超の上昇となりました。

 その要因としてAI向けGPUに対する急速な需要拡大、売上増加、利益成長見通しが挙げられます。同社の当期予想EPS(右軸)は2022年末当時に5ドル程度でしたが、現在(2024年予想EPS)は25ドル超に拡大。利益見通しが5倍以上になってきた経緯が分かります。

 エヌビディアが発表した2-4月期決算では、売上高が前年同期比3倍強の増収、EPSは同5倍強の大幅な利益成長を示し、ガイダンス(業績見通し)も市場予想平均を上回る絶好調でした。「ブラックウェル」と呼ばれる新製品の受注拡大も期待されています。

 同社のファンCEOは「次の産業革命が始まった(The next industrial revolution has begun)」と指摘。「AIはほぼ全ての産業に大幅な生産性向上をもたらし、収益機会の拡大に役立つだろう」と述べました。

 23日の日本市場(東証)では、2月にみられた「エヌビディア祭り」(同社の好決算を受けた半導体関連株の活況)に倣い、日経平均株価の寄与度が高い値がさ半導体関連株が上昇しました。

 エヌビディアはAI革命が進展する中での「中核銘柄」と見なされています。23日の米国株市場では業績拡大に期待する買いが集まり、エヌビディアの株価(終値)が初めて1,000ドルを超えました。日本のAI・半導体関連株も上値にチャレンジして日経平均の戻り基調に追い風となりやすいと考えています。

<図表3>エヌビディアの株価動向が日米株式の動向を左右する

*上記した予想EPSはBloomberg集計による市場予想平均
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年5月22日)

▼著者おすすめのバックナンバー

2024年5月17日:S&P500が最高値を更新!米国株式の上値目途は?(香川睦)
2024年5月10日:インド株式はなぜ躍進?高度経済成長見通しと投資戦略(香川睦)
2024年5月2日:S&P500は下値を探る?為替差益で円建て米国株式は最高値を更新(香川睦)