「保有数量」は価格推移と同じくらい重要

 暴落パターンの資産の額が暴騰パターンの資産の額を(わずかながら)上回ったことと、価格が下落しても利益が出たことの理由は同じです。この取引が「積み立て」だからです。

 多くの場合、大まかな収益の計算は「保有数量×価格」で行います。積み立ての場合、毎月一定額を購入に充てるため、価格が変動すると購入する数量が変動します。

図:積み立てシミュレーション(2パターンの累積保有数量)単位:グラム

出所:筆者作成

 上の図は、暴騰パターンと暴落パターンの累積保有数量の推移です。最終的な保有数量は、暴騰パターンが421グラム(貴金属の積み立てを想定しているため、数量の単位はグラム)、暴落パターンが983グラムでした。暴落パターンは暴騰パターンの2倍以上になりました。

 暴落パターンの価格が長期で低迷した期間(2044年3月から2064年2月)、保有数量の増加のスピードが、他の期間に比べて速かったことが分かります。まさにこれは、月々の投資額が変わらない積み立てだからこそ起きていることです。