雇用統計のサンプル問題

 雇用統計は、数ある米経済データの中でもトップランクに位置する重要指標で、マーケットの注目度も常に高く、FRBの政策決定にも強い影響を与えます。しかし、雇用統計のデータの精度があまり高くないことが問題となっています。

 その理由の一つに雇用者増加の推定のために使用するサンプル回答が、存続している事業所のものに偏っていることがあります。倒産企業からのデータがほとんど得られないことで、雇用市場の本当の弱点が見過ごされている恐れがあります。

 つまり、雇用市場はデータが示すほど過熱状態ではない可能性もあるのです。そのせいでFRBの利下げのタイミングが遅れてしまえば、米経済が景気後退になるリスクがあります。BLSは、雇用統計の正確性を期すために、何らかの調整を行う必要が求められています。