4月雇用統計プレビュー

 BLS(米労働省労働統計局)が5月2日に発表する4月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)の増加は、前月より約5万人少ない25.0万人増の予想となっています。失業率は前月と変わらず3.8%で、平均労働賃金は前月比0.3%増(前月0.3%増)、前年比4.0%増(前月+4.1%増)の予想です。

 もっとも雇用市場が弱まっている兆候はありません。就業者は今年になって3カ月間で80万人以上も増え、ニューヨーク市に限っても2020年の新型コロナ時の最悪期から仕事が190万も増えています。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、20万人前後が雇用者の増加数の適正水準と考えているようですが、その水準は昨年の12月から一度も下回っていません。米雇用市場の過熱状態はまだまだ続いていることになります。

 前月の3月雇用統計では、NFPの増加数が、30.3万人増と予想(20.5万人)を10万人近く上回る大幅な伸びとなりました。ただ注意しなくてはいけないのは、最近の雇用統計は予想と発表値、発表値と修正値の差がかなり開く傾向があることです。事前予想を超える強い数字が発表されても、翌月には大幅に下方修正される可能性があります。

 雇用統計に限らず、コロナ禍後に多くの米経済データに見られるのが、冬と夏の季節変動の振幅の減少、いわゆる季節性の喪失という構造変化です。大きな誤差が生じる原因は、BLSの季節調整モデルが新型コロナ後の雇用市場の構造変化に十分に対応していないことにあるようです。