セルフサービスと平均賃金の関係

 FRBが考える雇用市場の問題とは、雇用者数が増えることではなく、求人数に対して雇用者数が足りないことです。企業はより高い賃金を払う必要が生じ、そのコストは最終的に価格に転嫁されてインフレ率が下がらないことです。

 最近は、人手不足問題の軽減手段としてセルフレジが急速に普及しています。セルフレジとは、自分の買い物を自分でスキャンしてレジに読み取らせて会計をするものですが、感染対策にも良いとして、日本でもコロナ禍の時からコンビニなどで積極的に導入されています。

 レストランなどの飲食店では、水を自分で運ぶセルフサービスは以前からありましたが、最近では料理も客が自分のテーブルに運ぶシステムが増えています。さらに配膳と会計だけではなく、料理まで客につくらせる店も現れています。

 セルフサービスは客側にとっても気楽な面がありますが、労働という観点でいえば、客が店の従業員の仕事をタダで代行しているということになります。客がセルフサービスを利用すればするほど、従業員の実質平均時給は上がることになります。

 米労働省が30日に発表した2024年第1四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比1.2%上昇し、前回の0.9%上昇から大幅に加速しました。ECIとは企業が実際に負担する雇用コストを示した指数で、全体の7割を給与が占めています。