強すぎる雇用統計で引き締めが続く不安再燃

 2月に入り、米国株が反落したのは、タカ派FRBと強い雇用統計・サービス業景況が影響しています。

【1】タカ派FRB

 2月1日、FRBは0.25%の利上げを実施してFF金利の誘導目標を4.50~4.75%まで引き上げました。米国の長期(10年)金利(約3.7%)と比べて、長短金利の逆ザヤが1%以上に拡大していました。

 にもかかわらず、パウエルFRB議長はさらに利上げをあと2回続ける可能性を示唆しました。利上げはあと1回だけで、今年後半には利下げもあり得ると期待していた株式市場と明確に温度差があります。

 次のFOMC(米連邦公開市場委員会)は3月21~22日です。そこで、さらに0.25%の利上げをする可能性がありますが、それで利上げ打ち止めの示唆がないと、米国株が崩れる要因となりかねません。

【2】強過ぎる雇用統計

 株式市場にはFRBが早期に利上げを停止する期待がなお残っています。その期待に水を差したのが2月3日に発表された1月の米雇用統計です。

 雇用が強すぎて、引き締めが長期化する不安が高まりました。非農業者部門の雇用者増加数は前月比51.7万人と大幅増で、完全失業率は0.1ポイント低下して3.4%と、コロナ前より低い水準となりました。

【3】ISM非製造業景況指数が急反発

 2月1日に発表された1月の米ISM製造業景況指数は、47.4と前月からさらに低下し、景況分かれ目の50より低い水準が3カ月連続で続きました。ところが、3日発表の1月の米非製造業景況指数は、55.2と大幅に上昇し、非製造業(サービス産業)の景況の強さが再確認されました。

 米国では、製造業は早くから空洞化しており、製造業が不振でも非製造業(サービス産業)が好調ならば、米国全体の景気は堅調を維持することが多いことから、米景気がリセッション入りする不安が低下したと判断されました。

米ISM景況指数:2018年1月~2023年1月

出所:米ISM供給公社