ドイツ株・中国株も反落

 年初来、世界の株式は、米景気だけでなく、欧州景気や中国景気にも回復期待が出ていることを受けて、上昇していました。

 ただ先週は、米国株だけでなく、ドイツ株・中国株も反落しました。

独DAX指数・香港ハンセン指数・ナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年2月10日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】欧州景気回復を好感して上昇してきたDAXもいったん反落

 欧州では昨年、天然ガス急騰で深刻なインフレが起こり、景気後退リスクが高まったと考えられていました。ところが、足元、天然ガスが急落すると、ドイツを中心に景気が持ち直す兆しが強まっています。

 気回復期待からドイツDAX指数は上昇してきていましたが、先週は、米国株反落につれて、小反落しました。

【2】中国景気回復期待で買われてきた香港株は2週続けて下落、気球問題も影響

 感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ政策」を解除した中国も、急速に景気回復の兆しが強まりつつあります。ゼロコロナ解除直後には、感染の急拡大で景気が悪化する不安も出ましたが、国民の大半が感染すること自然免疫が拡大し、行動制限なく活動できるようになってきています。

 景気回復期待から香港株も昨年11月以降、大きく上昇していました。ところが、1月末より2週連続の下げとなりました。

 先週は、米中関係悪化を懸念した売りもありました。偵察を目的として飛ばされたとの推測がされている「中国気球」が米国上空を通過した後、2月4日に米国軍に撃墜されたことをきっかけに、改善に向かう期待が出ていた米中関係が再び冷え込んだ影響が出ています。

 米国務省は、【1】中国気球が通線傍受のできる装備を有していたこと、【2】中国は過去に同様の気球を40カ国以上に飛ばしていたという分析を発表しました。この問題は、米中対立のさらなる悪化のきっかけとなる可能性があります。

 ゼロコロナ政策の解除で、中国景気が回復する期待が強まっていることが、中国株の強材料となっている一方、米中関係が悪化する不安、中国政府による中国ハイテク企業締め付けへの不安が上値を抑える要因となっています。

日本株の投資判断

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。世界景気が少し温まってきたことを受け、上値への期待が少しずつ高まってきています。

 ただし、米利上げが続くことによる短期的なショック安はまだあるかもしれません。時間分散しながら割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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