円高は日本株にマイナスか?

 円高は、日本の企業業績にマイナスです。日本企業は海外で巨額の利益をあげています。

 円高が進むと、海外のドル建て利益を円に換算する際に、目減りします。円高だけを議論するならば、日本株には明らかにマイナスです。

 ただし、円高が進んでいる背景にも、注目する必要があります。

【1】米利上げ停止が近づいているとの思惑

 米景気減速が鮮明で米インフレはこれから低下が加速すると考えられています。そうなると、米利上げはいずれ停止されることになるでしょう。

 年後半には利下げがあるとの予想も出ています。ドル金利の先高感が低下していることが、円高(ドル安)が進む背景の一つです。

【2】日本の長期金利上昇が続くとの思惑

 欧米に遅れて、日本にやっとインフレ率上昇・長期金利上昇の波が押し寄せています。日本の長期金利上昇の思惑が広がっていることが、円高が進むもう一つの背景です。

 ここで注目すべきは、日本のインフレ率が市場の想定以上に高まっていることです。昨年11月時点で、総合インフレ率は3.8%、生鮮食品およびエネルギーを除くインフレ率(コアコア・インフレ率)は2.8%上昇しています。

 日本のインフレは、日本が輸入に依存しているエネルギーや食料品の価格上昇だけが原因で、日本国内にはほとんどインフレ要因がないと言われてきましたが、コアコア・インフレ率の上昇を見ると、国内要因のインフレも高まってきていることがわかります。

 インフレは、国民生活にマイナスですが、企業収益・株価・税収を押し上げる要因となります。インフレの影響で、2022年11月の一般会計税収は、前年同月比21.9%増の9兆9,950億円でした。

 円高だけを捉えると、企業業績・株価にマイナスですが、その背景にあるインフレは、企業業績・株価にプラスです。

 総合的に見て、日本株にとって大きなマイナスとはならないと考えています。円高で日経平均がさらに売り込まれるようならば、買い場となると思います。

日本株・米国株、時間分散しつつ買い増し方針

 日本株・米国株の投資判断は変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えていると考えています。

 時間分散しながら少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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