2023年見通し2、米国市場はスピード調整へ

 続いて、米国の要因については、「相場の時間軸の修正」が考えられます。

(図3)相場のサイクル

出所:楽天証券経済研究所作成

 足元の米国市場で焦点となっているのは、「インフレ」と「景況感」、そして「金融政策」の動向になります。インフレが収束するスピード、景況感悪化の度合い、金融政策修正のタイミングのそれぞれの組み合わせ次第では中長期の株価見通しのシナリオが大きく変わることになります。

 そもそも、新型コロナウイルスの世界的な急拡大という異例の事態から始まった混乱が急速な景気悪化を招き、それに対処するために異例の規模で金融緩和や財政出動が打ち出され、その後の景気は急回復したものの、異例の早さでインフレが進行してしまい、異例のピッチで金融引き締めが行われるなど、この3年間は異例の連続で目まぐるしく状況が変わっていきました。

 それに伴って市場の動きも早いスピード感で動いてきたわけですが、足元の実体経済は、急ピッチな利上げによる影響の程度について、時間を掛けて見極めていく段階へと移行しており、これまでのスピード感を落としつつあります。

 ただし、市場の動きはちょっとした材料でも敏感に反応して大きく動くなど、まだペースを落としきれていない面があり、しばらくは市場のスピード感の修正が続く可能性があります。

 また、2023年相場の最初の関門としては、年明けの1月後半から本格化する米企業決算の行方が意識されることになりそうです。