2023年見通し3、中国のゼロコロナ政策

 そして、三つ目は中国「ゼロコロナ政策」転換の影響です。

 中国当局は国内外からの抗議活動を受けて、2022年11月下旬にゼロコロナ政策に対する方針の転換を発表しました。その後も次々と規制の緩和が打ち出されています。

 ゼロコロナ政策については、中国経済の足を引っ張っている原因の一つとされていたため、政策の転換を受けた金融市場は経済再開(リオープン)を期待しておおむね好感する動きとなり、中国株関連指標は戻り基調を強めています。

 ただし、その一方で感染者の急拡大も懸念されています。行動管理アプリの運営停止や、感染者数の公表取り止めなど、ゼロコロナ政策下で厳格に行われてきたものが実施されなくなり、中国における現在の正確な感染状況が分かりにくくなっていることが不透明感を強め、想定以上の感染者数・死者数の増加や、新たな変異株の出現などが警戒されています。

 さらに、中国では1月下旬に春節(旧正月)の大型連休に入ります。人々の大移動が発生し、感染拡大の影響が中国国内だけでなく、海外にも広がる可能性もあり得るほか、状況によっては、3月に開催予定の全人代(全国人民代表大会)にも影響が出ることも考えられます。

 感染拡大については、「かつてのインドのように、急激な感染拡大が結果的に集団免疫を早期に獲得できることも考えられ、多少の混乱はむしろ買い材料」とする見方もあるようですが、インドで集団免疫を獲得できたのは、自然感染とワクチン接種による相乗効果とされています。

 そのため、ワクチン接種が進んでいない中国では、「どこまで接種率を上げることができるか」にも注目です。