卯跳ねる2023年、米大統領選にも要注目

 このように、2023年相場の序盤は、「不透明感が強い中、春先までの状況をどう乗り切るか?」が最大の焦点となり、ここを乗り切れれば、株価の戻りを期待する動きも出てきそうです。

 もともと、相場の経験則で見た2023年は、株価が上昇しやすいとされているようです。毎年この時期になると、干支にちなんだ相場格言を耳にする機会が増えます。2022年は「寅千里を走る」でしたが、2023年は「卯跳ねる」とされ、縁起の良い年になります。

 実際に、過去の卯年の日経平均の騰落状況を見ると、勝率は高いといえます。

(図4)過去の卯年における日経平均の状況

出所:楽天証券経済研究所作成

 あくまでも、干支の格言は参考程度となりますが、経験則として比較的確率の高いものに、「米大統領選挙の前年の株価は上昇しやすい」というのがあります。その理由として、現職の大統領が翌年の大統領選挙での再選をにらんで経済政策に力を入れるためとされています。

 米大統領選挙は4年ごとに行われますが、干支の数は12ですので、米大統領選挙の前年は、必ず卯年、未年、亥年がループすることになり、これを踏まえると、この三つの干支の年については「株価が上昇しやすい傾向がある」と考えても良さそうです。

 もう一つ、2023年の株高のカギを握るものとして、米国の金融政策の動向が挙げられます。利上げの打ち止めと、その先にある利下げ観測の高まりによる株高期待は高そうですが、「株価を戻す力から、株価を押し上げる原動力」へとつながるかは、先ほども述べたように、そのときの景況感の状況も左右されます。

(図5)米S&P500(週足)と米FFレートの推移

出所:Bloombergデータなどを元に筆者作成

 また、上の図5は米S&P500(S&P500種指数)(週足)と米FFレートの推移を表したものです。金利が高止まりし、利下げ局面に入る箇所を色で塗りつぶしていますが、実はそのときのS&P500の値動きを見ると、下落していることが多いことが分かります。

 金利が上昇していても、将来の利上げ打ち止めや利下げ観測が高まっていれば株価が上昇し、いざ実現してしまうと、材料出尽くしや景況感の織り込み直しで下落していくなどの理由が考えられます。

 もっとも、足元についてはFFレートの上昇に伴ってS&P500が大きく下落していて、過去と状況が異なっていますが、一応、過去に見せた傾向は頭の片隅に置いておいた方が良いと思われます。

 したがって、2023年相場は、「スタートから春先までのしばらくの間は状況を注意深く観察」し、「新たな展開に入りそうなタイミングで戦略を練り直す」という姿勢で臨むのが良いかもしれません。

 また、投資スタイルとしては、前者の局面では短期的な株価の上げ下げに乗る戦略、中期的な戦略については、前者のシナリオが崩れて相場が大きく下振れした場面や、後者の状況によって買いのタイミングを判断するというのが基本となりそうです。

 最後になりますが、2022年も当連載レポートをお読みいただきありがとうございました。引き続き2023年もよろしくお願いいたします。