イーサリアムのハードフォークが下支え

 9月の相場を考える上で見落とせないのがETHのマージのハードフォーク(HF)だ。おさらいになるがこれはETHがいよいよPoWからPoSに移行するのだが、同時にETHの発行額が減少する。昨年7月にロンドンHFで発行量が減少するアップデートが行われ、おおむねアップデートの前後2週間(計4週間)の間にETHは大きく上昇しており、今回も期待されている。

イーサリアム、昨年の供給減による上昇

(出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成)

 このマージでもう一つポイントとなるのが分岐を伴うHFの有無だ。HFとはブロックチェーンが分岐することを指すが、今回のようなアップデートをするためにHFを行うこともある。アップデートしたチェーンを正として古いチェーンはマイニングしないで放置する方法を採る。

分裂しても下がらなかったBTC価格

(出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成)

 一方、関係者の合意が取れず、けんか別れのような形でチェーンが二つに分岐することもある。古くはETH(イーサリアム)とETC(イーサリアムクラシック)、BTC(ビットコイン)とBCH(ビットコインキャッシュ)などがある。二つに分かれるのだから、価格も二つに分かれそうなものだが、そうはならなかった。

 すなわち、分岐前のBTC価格=分岐後のBTC価格+BCH価格になるので、分岐後にBTC価格が下がると思ったら、そうはならなかった。その結果、ハードフォークすればあたかもおまけのトークンがもらえるような期待感から価格が事前に上昇すると認識されるようになった。

 残念ながらBCHがさらにBSVと分裂する際の泥仕合で逆にハードフォークにネガティブなイメージが付くようになったが、今回はある程度お互いやむを得ず分裂するという側面もあるので、そろそろETHに上昇圧力がかかり始め、BTCのサポートになると考える。

アノマリーは微妙

 最後に恒例のアノマリーだが、先月は「8月はなんとか陽線が続いて、9月の大きな下げが来る展開」を予想した。そして9月は4勝7敗とパフォーマンスが悪く、また陽線から陰線に転じた過去27回のうち翌月陽線に転じたのは13回でほぼ半々。従ってアノマリー的にはやや分が悪い。

BTC月別騰落表

(出典:Bloombergより楽天ウォレット作成)

本格回復が近づいた

 従って、この9月は安値圏でのもみ合い推移を予想する。というのは前回2018年12月に大底を付けた際、1月に持ち直しの兆しが見えたものの失速した。そこで8月は何とかもつが9月に失速するシナリオを描いていたが、その下げを8月にこなしたイメージでいる。

 そして9月末から10月ごろに反発を始め、12月の間に戻り高値を更新してダブルボトムのような形で本格上昇が始まるイメージだ。そういう意味では8月後半の下げで本格回復に一歩近づいたと考えている。

前回底入れ時(2018年12月)の価格推移と今後のイメージ

(出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成)