日本株が相対的に堅調な4つの理由
以下4点が影響していると思います。
【1】円安
円安による輸入物価の上昇は国民生活にマイナスですが、日本の企業業績にはプラスです。ドル建ての海外利益を、円への換算額が、円安によって膨らむ分が、増益に貢献します。
円安は需給面でも、日本株にプラスに働きます。いつもお話ししているように、日本株を動かしているのは、外国人投資家です。その外国人は、ドルを円に両替して日本株に投資しています。したがって、外国人にとって重要なのは、ドル建て日経平均です。ドル建て日経平均が円安によって大きく下がったために、外国人はここからさらに日経平均を売り込みにくくなっていると考えられます。
日経平均とドル建て日経平均の動き比較:2021年10月1日~2022年5月13日
過去の経験則では、円安が進むと外国人が日本株を買う傾向が強まりました。円安によってドル建て日経平均が下がるので、外国人からみて「安く日本株が買える」ようになることに加え、円安が日本の企業業績にプラスなこともあり、外国人は日本株を買うのでした。
とはいえ、さすがに米国株が急落する中で、外国人が日本株を積極的に買いに出ることはありません。それでも、円安が急伸したことで、売り圧力を減じる効果はあったと思います。
【2】日本の企業業績が良好
3月期決算の発表がほぼ終了しました。終ったばかりの2022年3月期が好調であったことに加え、新年度(2023年3月期)も、小幅ながら増益が見込める可能性がでています。詳しくは後段で説明します。以下が、東証上場主要841社の業績推移です。今期、楽天証券では、連結純利益が5.8%の増益になると予想しています。
東京証券取引所上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)
【3】リオープン(経済再開)への期待
新型コロナウイルスの感染は続いていますが、重症化リスクが低下し、死亡率も通常のインフルエンザに近いところまで低下してきているので、リオープン(経済再開)への期待がたかまっています。
消費が、コロナで抑え込まれていた反動で、一時的に大きく伸びる可能性が出ています。
【4】「インベスト・イン・キシダ」、資産倍増策への期待
岸田首相が提言してきた「新しい資本主義」は、株式投資家にネガティブな政策が多いとの印象を受けてきました。ところが、先週、ロンドンで行った講演で、所得倍増政策に加え、資産・所得倍増政策を打ち出し、「インベスト・イン・キシダ」と述べたことが注目されました。
岸田政権の政策スタンスが、株式投資にフレンドリーになる兆しかと、期待を生じています。