最大の注目は、東証プライムの構成

 東証再編の最大の注目点は、海外機関投資家の投資基準を満たすと考えられる「東証プライム市場」の構成がどうなるか、でした。

 もともとは、東証一部上場企業が機関投資家の投資基準を満たす銘柄、という位置づけでした。かつての東証一部はそういって良い存在でした。そのため、東証二部・JASDAQ・マザーズの上場企業も、東証一部上場基準を満たせば、一部に移行するのが当たり前でした【注1】。一方、東証一部の上場廃止基準は、上場基準より緩いものでした【注2】。そのため、一部上場企業の数がどんどん増える一方、上場後に一部の基準を満たさなくなる銘柄も増えていきました。

【注1】上場企業がこぞって一部上場を目指すのは、日本特有の動きです。米国ではNASDAQ(日本のJASDAQに相当する市場)上場のハイテク企業は時価総額が大きくなってもNYSE(ニューヨーク証券取引所)に移行しようとしませんでした。そのため、時価総額上位の米国を代表する巨大企業がそのままNASDAQに上場しています。

【注2】上場基準を満たさなくなった企業をすぐ上場廃止にしないのも、日本特有です。米国では、基準を満たさなくなった企業はどんどん上場廃止になります。それが米国の株式市場の信頼性を高めています。

 機関投資家の投資基準を満たさない銘柄が、東証一部に増えるにしたがって、東証一部上場企業への信頼は低下していきました。それが、東証再編が必要となり、今回実施された理由です。

 東証プライム市場は、東証一部よりもさらに厳しい上場基準を課せられています。信頼の低下した東証一部に代わって、東証プライム市場が機関投資家の評価を回復することを目指しています。今回の再編の目玉は、東証一部上場企業のうち、何銘柄が東証プライムに行けるか、何銘柄が行けないかでした。

 4月3日時点の東証一部上場企業2,177社のうち、1,839社が東証プライムに移行しました。338社は、東証プライムには入れず、東証スタンダードへの移行となりました。ただし、プライムに移行した1,839社のうちの295社は、4月4日時点でプライム上場基準を満たしていません。
 東京証券取引所は、プライム上場基準を満たしていなくても、満たすように努力する計画書(適合計画書)を提出すれば、プライム上場企業となれる経過措置を発表しました。その措置を使って、適合計画書を提出してプライムに上場した企業が295社あったということです。