値上がり率ランキング(5銘柄)

1 サンバイオ(4592・東証マザーズ)

 マザーズが安値を切り下げるなか、グロース株ど真ん中のバイオベンチャーが新興全体の値上がり率トップになったのは興味深い現象といえそうです。地合いに目をつぶってでも“買うべき強材料”と、市場が判断したと捉えるべきなのでしょうか。

 同社は10日、「SB623」の慢性期外傷性脳損傷プログラム「先駆け総合評価相談」が終了したため、承認申請の準備を開始したと発表しました。先駆け審査指定制度というのは、承認申請から承認までの審査が短縮されるという特例制度です。リリースによれば1カ月程度で承認申請を行うということで、3月前半辺りに続報リリースが出そう。重要なのは、その先の「結果」ですが…。

2 アルマード(4932・ジャスダック)

 昨年6月上場の直近IPO(新規公開株)ですが、1月に付けた安値は初値の半値。人気薄の状態で発表した上方修正が、想像を超える株価インパクトにつながる格好に。同社は14日、今期の売上高予想を従来予想の48.8億円から53億円へ1割増額。卵殻膜商品の広告運用強化が奏功し、直販の新規獲得や外販が好調だったようです。

 業績修正以上にサプライズ感につながったのは、無配予定だった期末配当を40円としたこと。さらには、発行済み株数の5.9%相当(金額上限は3億円)の自社株買い枠まで設定。時価総額が小さく、流動性が落ちていたこともあり、発表翌日から2日連続ストップ高買い気配に…。17日は上限値幅の4倍拡大措置がとられ、発表前545円だった株価は880円で全株一致しました。

3 ジーダット(3841・ジャスダック)

 1月28日に上方修正付きの好決算を発表するも、特段の買い材料にならず…。そんな低流動性、不人気銘柄が急騰するきっかけになったのが、決算発表から2週間強のタイムラグを置いて発表した増配と株式分割でした。

 17日、業績好調に加え、3月14日で上場15周年を迎えることを理由に期末配当を40円(従来計画は20円)に増配すると発表。さらに、流動性向上を目的として、3月末株主を対象とする株式2分割も発表しました。発表前株価1,303円に対し、2月22日に付けた高値は2,503円とほぼ倍増。

 おそらく、4月から始まる新市場(同社はスタンダード市場)の上場維持基準を見据えた対策と見られますが、20円増配と株式2分割で株価はここまで押し上げられるというモデルケースになったのではないでしょうか。

4 ツクイスタッフ(7045・ジャスダック)

 親子上場銘柄のTOB案件。ツクイホールディングス子会社の同社は4日、親会社ツクイホールディングスによるTOBで完全子会社化すると発表されました。4日終値1,122円に対して、TOB価格1株1,705円はプレミアム52%! 買付期間は2月7日~3月23日で、TOB価格にサヤ寄せする展開となりました。

 この手の事例は増加傾向にあります。ツクイスタッフはジャスダックスタンダード上場銘柄のため、新市場ではスタンダード市場に区分されます。それ自体はスライド的に果たされるわけですが、新市場ならではの上場維持基準が設けられています(スタンダード市場でいえば、流通株式時価総額10億円以上/流通株式比率25%以上など)。同社については、上場維持基準に満たしていないことが親会社によるTOBの理由のようです。

5 カラダノート(4014・東証マザーズ)

 上場来安値圏、かつ流動性が低下した状態での株価材料に強い反応を示しました。同社は4日、中部電力と資本業務提携すると発表。両社のアプリ顧客向けにライフイベントに応じた共同キャンペーンを行ったり、ライフイベントマーケティング事業の共同開発などを行うようです。また、将来的には子育ての視点から、少子高齢化社会における地域の社会課題の解決を実現する「新しいコミュニティの形」の提供を目指すそうです。

 漠然とした記述で、中部電力との提携後のイメージはあまり湧きませんが、株価が上場来安値圏かつ人気薄だったこともあって好反応に。とくに、中部電力が資本面では発行済み株数の4.76%相当(30万株)を上限に市場で買う予定とも記載されていたことが大きかったのかもしれません。