売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ) 

 月末時点の25日移動平均売買代金は、前月の92.3億円から2月は137.5億円と急増し、売買代金で全体トップに浮上。マザーズ指数のシンボル銘柄だけに、投資家が感じる値ごろ感はマザーズ指数に感じた値ごろ感に近いのではないかと思われます。

 ただ、ファンダメンタルズでの下値メドが無いマザーズ指数と同じく、同社もフリマアプリ国内最大手で競合会社が特になく、ファンダメンタルズでの下値メドがない…値ごろ感の個人の逆張り買いVSヘッジファンドの空売りの構図になり、安値圏で売り方優位の中、後者が勝った1カ月だったように思われます。

 なお、3日に中間期決算を発表、営業損益は17.7億円の赤字(前年同期は13.7億円の黒字)でした。四半期ベースでも7四半期ぶりの営業赤字で、売上の伸びは強いものの、広告宣伝など積極投資が短期業績の見栄えを悪くしました。地合いの悪いなかでは「印象は悪い」と切り捨てられる格好に…。

2 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 決算発表当日14日の終値は2,850円で、この時点の信用買い残は金額ベースで推定112億円とマザーズ全体で最大。これは、「好決算を出して株価が上がってくれ!」と願って決算発表を迎える投資家の数、ポジションとも最大ということを意味します。そして発表された14日の第3四半期決算は、売上高が前年同期比12.7%増の85.2億円、営業利益が同21倍の13.9億円でした。この決算を受け…、多くの投資家の願いも空しく翌15日はストップ安に。

 決算失望の理由は「第3四半期(10-12月期)に限ると、営業利益が前年同期比17%減と減益だったため」とのことですが、地合いの悪さも相まってストップ安になるのは衝撃でしたし、ここからさらに下値を深くえぐったのも衝撃でした。

 これも、信用買い残が極端に多いこと、流動性が高いがゆえにヘッジファンドの空売り対象になったことが真相と思われます。決算翌日15日が17%安、16日15%安、17日20%安…安値はマザーズ指数の安値でもある24日ですが、この日の安値(1,343円)は決算発表前の半値以下。マザーズの信用買い残最大銘柄は、マザーズ銘柄で最大追証発生銘柄に…。

3 アスカネット(2438・東証マザーズ)

 材料株として注目されたタイミングが、マザーズ劣悪地合いに重複。地合いが悪いことが裏目に出る場合もありますが、同社に関してはむしろ追い風になりました。強い株が極端に少なかったため、モメンタム狙いの短期マネーが数銘柄に集中。その中でも特に短期マネーが集まったのが同社でした。

 買い材料になったのが、セブン-イレブン・ジャパンによる1日のリリースでした。セブン-イレブンの店舗で、非接触・空中ディスプレー技術を採用したキャッシュレスセルフレジ「デジPOS」の実証実験を行い、そのディスプレーに同社の「ASKA3Dプレート」が使用されるという内容でした。

 最初は東京都内6店舗からですが、セブン-イレブンといえば全国2.1万店舗を誇る超巨大コンビニチェーン。近未来的な「ASKA3Dプレート」への期待はありましたが、実証実験先としてはこれ以上ないこともあって、期待が期待を呼ぶ展開に。

4 JTOWER(4485・東証マザーズ) 

 予想PER(株価収益率)、予想PSR(株価売上高倍率)など株価指標面で、どれをとっても極めて高いハイパーグロース株の位置付け(類似会社のいないオンリーワン銘柄がゆえ?)。昨年末から1月17日にかけた「11営業日続落」など、年初来のマザーズ株安の象徴的“売り銘柄”といえ、米利上げリスク相場で敬遠されるシンボルストックのようでもありました。

 その同社株価の反転タイミングになるか? と注目されたのが、8日発表の決算でした。ただ、ここで発表したのが通期売上高予想の下方修正。売上高は従来予想比で4億円下振れ、営業利益こそ2.6億円の上振れに修正されましたが開発費用の後ズレという後ろ向きな理由でした。

 この発表後はいったんアク抜け感を出しましたが、結局はマザーズ指数が安値を付けた24日まで下値掘り下げ。24日に付けた安値は3,540円と、およそ3カ月前に付けた上場来高値1万3,210円の“7割引”水準に…。

5 アミタHD(2195・ジャスダック) 

 株式分割を手掛かりに、昨年12月に人気化した仕手系材料株。注目度が増した状態で、決算発表の2月を迎えました。発表予定日は14日でしたが、その1週間前である7日に今2021年12月期業績を大幅上方修正。2013年12月期以来の復配も発表する強材料を出しましたが、高かったのは発表翌日の午前中だけで…。

 ファンダメンタルズで売買していない仕手系材料株を触る投資家にとっては、業績ニュースは重要とも言えないのかもしれません。株価にネガティブとなったのは、東証が発表した9日から開始の増担保規制。新興株市場の地合い悪化によるセンチメントの影響も響き、25日の増担保規制解除に向け軟調な展開が続きました。