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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
総合商社決算レビュー 割安な成長株として「買い」判断継続

大手総合商社5社を割安な成長株として評価

 大手総合商社5社(伊藤忠・丸紅・三井物産・住友商事・三菱商事)の10-12月決算が出そろいました。5社とも、通期(2022年3月期)純利益予想を上方修正、最高益を更新する予想です。
資源価格の上昇によって、資源事業の利益が拡大します。非資源事業もおおむね好調で、各社とも最高益を大幅に更新する見通しです。

 好業績を評価し、株価は2021年・2022年とも大きく上昇しています。

5大商社2021年・2022年の株価騰落率、日経平均と比較

コード 銘柄名 2021年 2022年
2月16日まで
8001 伊藤忠 18.7% 8.0%
8002 丸 紅 63.2% 7.4%
8031 三井物産 44.1% 10.9%
8053 住友商事 24.5% 10.7%
8058 三菱商事 43.7% 9.1%
日経平均 4.9% -4.6%
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

  株価は上昇していますが、以下の通り、株価指標を見ると、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)が低く、予想配当利回りが高いバリュー株として、評価できます。

大手総合商社5社の株価バリュエーション:2022年2月16日時点

コード 銘柄名 株価
:円
配当
利回り
PER PBR 1株配当金
会社予想
:円
8001 伊藤忠 3,799.0 2.9% 6.8倍 1.37倍 増配
110
8002 丸 紅 1,202.5 4.8% 5.3倍 0.99倍 増配
58
8031 三井物産 3,020.0 3.5% 5.8倍 0.89倍 増配
105
8053 住友商事 1,882.0 5.8% 5.4倍 0.75倍 増配
110
8058 三菱商事 3,985.0 3.6% 7.2倍 0.91倍 増配
142
出所:各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成、配当利回りは、2022年3月期1株当たり配当金(会社予想)を2月16日株価で割って算出。PERは、2月16日株価を2022年3月期1株当たり利益(会社予想)で割って算出

 私は「株価指標で見て割安」というだけで、この5社を評価しているわけではありません。5社とも、今期最高益を更新する見通しです。継続的に最高益を更新していく力があると判断しています。割安な成長株として評価できると考えています。

5大手商社の連結純利益:2019年3月期(実績)~2022年3月期(会社予想)

(単位:億円)
コード 銘柄名 2019/3 2020/3 2021/3 2022/3
会社予想
8001 伊藤忠 最高益
 5005
最高益
 5013
4,014 最高益
 8200
8002 丸 紅 最高益
 2308
-1,974 2,253 最高益
 4000
8031 三井物産 4,142 3,915 3,354 最高益
 8400
8053 住友商事 最高益
 3205
1,713 -1,530 最高益
 4600
8058 三菱商事 最高益
 5907
5,353 1,725 最高益
 8200
  コロナ・ショック  
出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 以下の表をご覧いただくとわかる通り、5大商社は、コロナ・ショックを超越して増配を続けています。

5大手商社の1株当たり配当金:2019年3月期(実績)~2022年3月期(会社予想)

(単位:円)
コード 銘柄名 2019/3 2020/3 2021/3
会社予想
2022/3
予想
8001 伊藤忠 83 85 増配
88
増配
110
8002 丸 紅 34 35 減配
33
増配
 58
8031 三井物産 80 80 増配
85
増配
105
8053 住友商事 75 80 減配
70
増配
110
8058 三菱商事 125 132 増配
134
増配
142
  コロナ・ショック  
出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

  自社株買い・増配に積極的な高配当利回り株としても高く評価できます。