脱炭素に貢献する5大商社のLNG事業

 5社共通の問題として、化石燃料ビジネスを手掛けていることが挙げられます。ESGを重視する年金基金などは、化石燃料ビジネスで高い利益をあげている5大商社を投資対象から外す可能性があります。私はきわめておかしなことと思います。

 化石燃料ビジネスを手掛けることを「すべて悪」と決めつける、現在の欧州主導のESG基準には大いに問題があると考えています。日本企業は、化石燃料を世界一効率的に使う技術を幅広く保有していますが、それが現在のESG基準では「悪」とレッテルが貼られます。

 たとえば、トヨタ自動車のハイブリッド車は、ガソリン車の中でもっとも高い燃費を実現していますが、それでも現在のESG基準では「ガソリンを使う問題ビジネス」とされてしまいます。
同様に、5大商社を始めとして、日本企業が高い技術を持ち、幅広く手掛けているLNG(液化天然ガス)ビジネスも既存のESG基準では高く評価されません。

 私は、人類が真剣に脱炭素を進めようとするならば、そのプロセスにおいて天然ガス・LNGを積極的に活用することが不可欠だと考えています。脱石炭を急速に進めるための切り札となる、天然ガス・LNG事業をESG基準でもっと高く評価すべきと考えています。