売買代金ランキング(5銘柄)

1 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 追証発生が続出したとされる同社株の12月。11月26日に上場来高値5,300円を付けた翌日、29日より東証が増担保規制をかけました。増担保規制で急落することは多いとはいえ、29日のザラ場にストップ安まで売り込まれたのは衝撃。そして、翌30日と12月1日の2日連続でストップ安売り気配になったのは、それ以上の衝撃でした。

 最後に約定したのが11月29日で、その日の終値がストップ安の4,300円。そこから2日連続売り気配となり、下限の値幅制限が拡大された12月2日にようやく全株一致しましたが、その値段は2,557円。

 増担保規制ひとつで、高値の半値になる恐怖が個人投資家に知れ渡った案件といえます。マザーズの信用買い残が11月最終週時点で約180億円と断トツだった人気銘柄だけに、損切りせざるを得ない買いポジションが多過ぎたとはいえ…年前半のAI insideショックに並ぶショック安事例となりました。

2 サイエンスアーツ(4412・東証マザーズ)

 12月のIPOラッシュ手前まで、幕間つなぎ的に爆上げした直近IPO(11月24日上場)。デスクレスワーカー向けプラットフォーム「Buddycom」の開発・販売が主力ですが、今期予想の売上規模は4億円台と小さく、利益項目は全て赤字予想。ただ、公開価格ベースで時価総額が50億円台の小粒IPOでした。

 値段が飛びやすい案件だったこともあり、公開価格1,710円に対して、初値は4,545円と最近のIPOとしては初値から高騰。圧巻だったのが、品薄による需給ひっ迫で、初値形成直後から3日連続ストップ高したこと。

 そして、上場13営業日目の12月10日に付けた上場来高値は1万8,690円と、公開価格比でテンバガー達成! その後はIPOラッシュで資金が逃げ、流動性低下とともに急落しましたが、「上がる株は正義」「流動性あれば何でもOK」で集まる短期資金のすごみを感じさせた事例でした。

3 エネチェンジ(4169・東証マザーズ)

 11月に上場来高値を付け、マザーズのモメンタム銘柄として人気だったエネチェンジ。高値を付ける手前では、12月末の株主を対象とする株式2分割を発表していたことも刺激材料としていました。それが“ちゃぶ台返し”となったきっかけが、11月末に発表した公募増資(新株発行75万株、売出55.2万株)でした。

 希薄化を嫌って売られたうえ、12月中旬にかけたマザーズ市場の地合い悪化も下げに拍車をかけていきます。公募増資の発行価格は5,584円と8%超の大幅ディスカウントで設定されましたが、価格決定から受渡日14日にかけて下げ止まらず…受渡日の始値が公募価格を17%も下回るという、投資家にとって最悪のファイナンス案件となりました。

4 リボミック(4591・東証マザーズ)

 11月に月間67%上昇した人気バイオ株で、動意のきっかけは11月開催の第2四半期決算説明会でした。この場で、加齢黄斑変性治療薬「RBM-007」への期待が高まり、12月も10日に付けた年初来高値で944円まで上がりました。「RBM-007」、このパイプラインの成功期待こそが同社株の全て、というような雰囲気。

 そんな朗報を待つ投資家を失望させたのが、28日に発表した米国での「RBM-007」フェーズⅡ暫定報告。「RBM-007」での単独治療、独バイエルの治療薬「アイリーア」との併用治療の双方で、「アイリーア」単独治療を上回る視力改善効果が認められなかったと開示しました。

 28日終値611円に対し、翌日から2日連続ストップ安売り気配、全株一致した1月4日の終値は298円…治験の失敗で株価は半値以下に。

5 ビジョナル(4194・東証マザーズ)

 マザーズ市場の最悪級地合いの中、度肝を抜く上方修正で逆行高を演じたのが求人サイト「ビズリーチ」運営のビジョナル。多額の広告宣伝費を中心とした販管費の重さから、利益水準が小さく、予想PER(株価収益率)が同業他社比で飛び抜けて高い…人材系では割高過ぎるグロース株というイメージが強かったといえます。が、これを上方修正一発で黙らせたようなインパクトでした。

 9日、通期の営業利益予想を従来26億円→60億円(前期比2.5倍)に大幅増額すると発表。コロナ禍の落ち着きで企業の採用意欲が想定より高まるなか、主力のビズリーチが需要を取り込んだようです。発表翌日はストップ高買い気配、全株一致した13日には上場来高値を1万1,550円と大幅更新しています。

 月末にかけて調整したものの、12月末時点の時価総額はマザーズ全体で3位(2位のフリーとほぼ同サイズ)。マザーズの中核銘柄としての地位を確立しました。