違いは3点 日経平均はどこまで下げる?

 ここまで似ている点についてみてきましたが、異なる点についても検証してみましょう。

異なる点(1)金融引き締め:2018年は金利引き上げ、保有資産縮小。現在はテーパリングが始まったばかり

 似ている点(5)であげたように、2018年も現在も金融緩和から金融引き締めの方向に向かっていますが、2018年初頭はFRBがFFレートを引き上げ、保有資産の縮小も行っている状態でした。

 一方、現在はテーパリングが始まったばかりで、引き続き、マネーを金融マーケットに供給している状態です。この点から、現在の方がマーケットは支えられる状況にあると言えるでしょう。

異なる点(2)米国消費者物価上昇率:2018年は低いが、現在は大幅に上昇

 2018年1月における米国の消費者物価上昇率は前年比+1.4%と低い状態でしたが、現在、2021年10月の値は、前年比+6.2%と大幅に上昇しています。このため、FRBはインフレ抑制に軸足をおき、12月にFRBがテーパリングを速める議論をするのではと言われています。

 この点からは、たとえ景気が悪くなったとしても物価が上昇してしまっているので、当時よりも現在のほうが、マーケットが好感する金融緩和に転じにくい状況にあると言えるでしょう。

異なる点(3)日本銀行 ETF買いの状況

 2018年初頭は、日銀がETF(上場投資信託)買いを積極的に行っていました。当時はTOPIX(東証株価指数)が午前中に0.5%以上下げたらETF買いをしていて、日経平均が下落した2018年2月に6,076億円、3月に8,333億円と合計1兆4,409億円の株式ETF買いをしています。

 現在はTOPIXが午前中に2%以上下げたらETF買いをしている傾向にあるので、当時のような大規模な買いで株価を支えることは見込みにくい状況にあります。

 また、当時は日経平均ETFも対象としていましたが、現在はTOPIXのETFのみを対象としています。日経平均ETFが対象外となっていることも、日経平均にとってはネガティブと言えるでしょう。

 ここまで似ている点、異なる点を挙げてきましたが、2018年初頭と同じような展開になるとしたら、日経平均はいったん下落した後に、回復してくる展開が予想されます。

 では、下落するとした場合、どこまで下げるのでしょうか? 2018年当時は、1月のピーク(23日:2万4,129.34円)から3月のボトム(26日:2万347.49円)まで、15.6%の下落となっています。

 今回2021年の高値(9月14日:3万795.78円)から同じ下落率を当てはめると、2万6,000円あたりとなります。実際にそこまで下がるかは分かりませんが、一つの目安になるかもしれません。

 投資はあくまでも自己責任で。