似ている点(3)信用取引買残高が積み上がっている

 三つ目は信用取引買残高が積み上がってきているという点です。

グラフ3:日経平均株価と信用取引買残高

出所:日本取引所公表データよりマネーブレインが作成

 2021年11月26日時点の信用取引買残高は3兆7,401億円と、2018年3月のピークである3兆6,759億円を上回る水準です。この残高のピークは、グラフ1のピークアウトあたりとほぼ重なっています。過去にこの水準まで残高が積み上がった2013年以降をみると、日経平均はいったん調整する動きとなっているのがわかります。

似ている点(4)直前の衆議院選挙で自民党が大勝

 四つ目は、直前に衆議院選挙があって、自民党が大勝していることです。2017年には10月に衆議院選挙がありました。当時、安倍晋三首相が衆議院を解散、野党は民進党が分裂し、希望の党と立憲民主党が設立された状態の中、自民党が284議席を獲得し、圧勝しました。

 今回、2021年10月に行われた選挙においては、菅義偉政権から岸田文雄政権に代わり、自民党苦戦と予想された中、結果は事前予想を覆して自民党が261議席を獲得する大勝となりました。一般的に政権が安定していると株は買われやすいと言われており、今回も選挙翌日に株価は大幅に上昇する動きとなりました。

似ている点(5)FRBは金融引き締め方向に

 五つ目は、FRBが金融引き締め方向に向かっていることです。2018年初頭において、米国ではFRBが金利(FFレート)を段階的に引き上げていて、かつ、2017年10月から保有資産の縮小も行う金融引き締め方向にありました。今回、FRBは2021年11月からテーパリングを始めており、方向としては、金融緩和から金融引き締めに向いている状態にあります。

似ている点(6)直前まで米国株は順調に上昇

 六つ目は、直前まで米国株が順調に上昇していることです。2017年にはNYダウが順調に上昇し、2017年6月末の2万1,349ドルから2018年1月には2万6,616ドルと大きく上昇しました。今回も、2021年3月末の3万2,981ドルから、11月の高値は3万6,565ドルと大きく上昇しています。 

似ている点(7)ショック的な下落

 七つ目は、下落がショック的に起こっていることです。2018年2月の下落は「VIXショック」とも言われ、2月に発表された1月の米国雇用統計の発表を受け、長期金利が上昇、株は下落、VIX指数は急騰し、NYダウは2日間で1,800ドルを超える下げとなりました。

 今回は、新型コロナのオミクロン型やFRBパウエル議長のタカ派発言があり、11月26日に905ドルの下げ、翌営業日の29日は236ドル高となったものの、30日には652ドルの下げ、12月1日は461ドルの下げとショック的な下げとなっています。