10.航路を守る

 故ジョン・ボーグル氏の著書に、邦題が「航路を守れ」というものがあった。方針をいったん決めたら、明確な変更理由がないかぎり、資産運用にあってもそれを守るべきだというのがこの項目の趣旨であり主張だ。

 たとえば、いったん決めた株式と債券のアセットアロケーションを守り、1年に1度程度比率を計画に戻すリバランスを行うことを推奨している。

 細かい話をすると、リバランスは定期的であることが必ずしも正しくないし(投資環境はカレンダーに合わせて変化する訳ではないから)、過去の前提で創った投資計画を、新しい前提で修正しなければならないことがある。

 しかし、現実には、あまりにも多くの場合にあって、その時々のマーケットの動きと、それによって喚起される「感情」の変化で、不適切な投資行動を取る投資家が多い。

「当初に計画を検討した時と同じくらいの慎重さをもって、新たな計画に納得して始めて、投資方針を変更することが適切なのだ」と思っておくことが適切な場合が多い。そして、当初の計画が不出来なものでない限り、投資の計画自体を変更する方がいい場合は割合少ないのが現実だ。

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 ボーグルヘッズの投資哲学によると、投資を始めるにあたって検討に必要な時間については、「数時間掛けて仕組み作りを行い(1日は掛かりません)」とある。

 その後は1年に1度1時間ほど掛けてポートフォリオのリバランスをするといいのだといい、マーケットのチェックや金融ニュースのフォローは必要ないと言う。趣味の要素が混じらないのなら、確かに、それでいいだろう。

 筆者には、水瀬ケンイチ氏と共著で「全面改定 ほったらかし投資術」という著書があるが、こうした本の著者としても、ボーグルヘッズの10原則には大いに共感できる。日本の読者のためには、更にシンプルで磨きをかけた「投資術」をお届けしたいものだと思っている。

 

【注】ボーグルヘッズ・ジャパンについての案内を載せたいと思います。

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 今回ご紹介した「Bogleheads®の投資哲学―米国外投資家向け」全文は、今後公開予定のBogleheads®日本チャプター日本語ウェブサイトに掲載予定です。

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金野真弓(Bogleheads®日本チャプター代表) :元バンガード・インベストメンツ・ジャパン マーケティング&PR部長 ディレクター

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