バフェット流投資の王道はキャッシュフローにあり!
今年5月、オンラインで開催されたバークシャーの年次総会において、バフェットの手元にはいつもの通りコカ・コーラ(KO)が置かれていた。前述のブリッジウォーターのポートフォリオとバークシャーのポートフォリオに重複しているのがこの飲料大手コカ・コーラである。
コカ・コーラは北朝鮮とキューバを除き、世界中で販売されている。他に類を見ない世界共通のブランド力、膨大な規模の効率性、そして依然として販売地域の拡大といった追い風を受けている。
コカ・コーラの売上高と純利益
今年3月のトウシルのレポート「ウォーレン・バフェットは実は短期投資家!?バフェットのすごさは銘柄の買い時より売り時にある」でも述べたように、バフェットはバリュー投資家としてのイメージとは裏腹に、実際には買った銘柄の3分の2を5年以内に売却するなど、「短気」投資家としての側面を持っている。
そんなバフェットが、20年以上にわたり長期保有しているのはウェルズ・ファーゴ(WFC)、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス(AXP)の3銘柄のみである。
キャッシュフローの観点からコカ・コーラを見てみよう。キャッシュフローはご覧の通り潤沢だ。
コカ・コーラのキャッシュフロー
営業キャッシュフローを売上高で割った営業キャッシュフローマージンは20%を超えており、直近では30%まで上昇している。
コカ・コーラの営業キャッシュフローマージン
コカ・コーラは【配当貴族銘柄】の一つで、配当利回りは3%程度、59年増配を続けている。
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バフェットはかつて、「10年間株を保有する気がなければ、10分間保有することさえ考えない方がいい」と述べた。長期保有のイメージとは裏腹に、見切り売りを的確にすることで、これまでそれなりのリターンを確保してきた。
一方、気に入った銘柄は永遠に保有するとも言われている。どんな企業がバフェットのお気に入りなのか。それは至ってシンプル、キャッシュフローを効率よく稼ぎ出す企業だ。
キャッシュがあるからこそ、投資家への分配も次の成長へ向けた投資も可能となる。「キャッシュを効率よく稼ぐ企業を探し出す」のがバフェット流投資の王道だ。
優れたファンドの株式投資の手法は、ウォーレン・バフェットと同じく「キャッシュフロー計算書」に基づいて銘柄選択されている。
すなわち、以下の3点
- 毎年キャッシュを増加させている企業
- 資本的支出に金を使わなくてよい企業
- 配当を上げるよりも自社株買いを続ける企業
を重視して投資しているのである。