米株市場はNYダウ、NASDAQともに「リターン・ムーブ」で下落

 そして最後に、先週の日本株の下落の要因となった米株市場の動きもチェックします。

■(図4)米NYダウ(日足)とMACDの動き(2021年10月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図は米NYダウ平均株価(日足)とMACDの推移を示したものです。移動平均線は25日と米株市場でよく使われる50日移動平均線を描いています。

 前回のレポートでは、25日と50日移動平均線のデッド・クロスが出現する中で、株価が移動平均線を上抜けできずに跳ね返されてしまうリターン・ムーブに注意と指摘していましたが、その注意すべきリターン・ムーブの動きとなってしまいました。

 今週も引き続き、株価が25日や50日移動平均線を上抜けできるかが焦点になりますが、先週のように、再びリターン・ムーブの動きが出てしまうことや、25日移動平均線が下向きとなっている点には注意が必要です。

■(図5)米NASDAQ(日足)とMACDの動き(2021年10月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNASDAQについても、株価が25日移動平均線を上抜けることができるかが焦点でしたが、結局はNYダウと同様に25日移動平均線で跳ね返されるリターン・ムーブで下落となったほか、50日移動平均線も下抜けてしまいました。

 これにより、過去にチャートをさかのぼったときの2つのパターン(5月の上昇と3月の下落)のうち、後者の3月のパターンの値動きに近くなってしまった格好です。

 今週の株式市場は、米国の債務上限問題をめぐる米議会の動向や、新たに誕生する国内政権の陣容などの政治的材料が注目される中、週末のオプション・mini先物取引のSQ日を控え、株価が上にも下にも大きく動きやすい地合いとなります。

 株価が思ったよりも勢いよく反発する展開も考えられるのであれば、今が絶好の買い場となるのかもしれません。

 ただし、株価の先高感の理由とされる、「米国のテーパリング開始は織り込み済み」、「米国の物価上昇は一時的にとどまる」、「中国恒大集団の問題は限定的」、「企業業績の回復基調は続く」、「国内政治への期待は買い」という前提シナリオについて、これらを揺るがすような材料が増えはじめてきています。

 シナリオ修正の動きとなれば、株式市場も本格的に調整する展開が想定されます。テクニカル分析的にも、日米の株価指数がそろって、リターン・ムーブの動きを見せているのも気掛かりです。そのため、足元の買いは「短期間で深追いしない」程度にとどめておくのが無難かもしれません。