目先の値動きの範囲

 そして、25日移動平均線への注目度が高まりそうなため、目先の値動きの範囲については、前回のレポートと同様に、25日移動平均線乖離(かいり)率をボリンジャーバンド化したものが、目安として機能しそうです(下の図2)。

■(図2)日経平均25日移動平均線乖離率のボリンジャーバンド(2021年10月1日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡのデータを元に筆者作成

 先週末1日(金)時点で計算すると、プラス2σの3万2,376円から、マイナス2σの2万8,884円が目先の値動きの範囲となります。

フィボナッチ分析とエリオット波動:先週の冷静さは失われつつある

 また、前回のレポートでは、最近の慌ただしい値動きについて、「分足チャートで見ると意外と冷静」ということを指摘しましたが、先週の急落によって、新たな変化が出てきたかについても確認していきます。

■(図3)日経平均(60分足)のフィボナッチ分析とエリオット波動(2021年10月1日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きを60分足で振り返ると、9月30日(木)まではフィボナッチ・ファンの38.2%ラインと61.8%ラインを意識しながら推移していたのですが、1日(金)の取引によって、61.8%ラインを下放れする格好となりました。

 今週の日経平均が反発する展開となった場合には、まずは61.8%ラインへ復帰できるかが焦点になります。

 このように、フィボナッチ・ファンで見た場合の日経平均は値動きが崩れたような印象になっています。

 確かに、フィボナッチ・ファンがサポートとして機能しなくなってしまいましたが、週末にかけての下落局面は、エリオット波動の第3波の上昇幅の押し目(オレンジ色のライン)が意識されていたことが分かります。

 このあたりの株価水準は、ちょうど図1の75日や200日移動平均線の水準でもあります。

 エリオット波動論において第4波の許容範囲は広く、第1波の頂点の株価水準(緑色のライン)を下回らない限りは第4波が継続とみなすことができますので、下値の余地も残されており、そのため、足元の状況はまだ第4波の途中にあると考えることができます。

 先週の値動きも一応、テクニカル分析の節目が上げ下げのポイントになってはいるものの、下値の目安が次々と切り下がって不安定さが増し、前回までの冷静さが失われつつあるような印象です。そのため、しばらくは不安定な相場展開が想定されそうです。