日経平均は2万9,000円割れ。反発か調整か、25日移動平均線がカギ

「月またぎ」で10月相場入りとなった先週末1日(金)の日経平均は2万8,771円で取引を終えました。前週末終値(3万248円)からの下げ幅は1,477円と大きくなったほか、節目の3万円や2万9,000円も下回っています。

 足元の相場地合いは、中国恒大集団の債務問題をきっかけに雲行きが怪しくなっていましたが、先週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)後の10年債利回りが急ピッチで上昇していたことや、デットシーリング(債務上限)をめぐる米議会の動向への警戒などを背景とした米株市場の下落が日本株にも波及して、下げが加速した格好です。

 とはいえ、先週末の日経225先物取引が大取で2万9,050円、シカゴCMEで2万9,055円と上昇して終えたこともあり、今週の日本株は下げ止まりから反発への攻勢を強められるかが焦点になるわけですが、であるならば、今が絶好の「買い場」なのか否かの判断が重要になってきます。

 まずは、いつものように、先週の振り返りから始めていきます。

■(図1)日経平均(日足)とMACDの動き(2021年10月1日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて、先週の日経平均の値動きを振り返ると、上の図1を見ても分かるように、週を通じて下落基調が続き、5日連続の前営業日比マイナスとなりました。

 週初の27日(月)と翌28日(火)の取引では3万円台を保っていたのですが、自民党総裁選の投開票が行われた29日(水)に、「窓」を開ける格好でその3万円台を割り込み、25日移動平均線あたりまで株価水準を切り下げていきました。

 さらに週末の1日(金)には一段安となって、2万9,000円水準を下抜け、下段のMACDも下向きを強めています。

 その一方で、何とか75日・200日移動平均線がサポートとして機能しているように見えるほか、冒頭でも触れたように、先物取引が上昇していたことを踏まえれば、株価の反発シナリオも見込まれます。

 その場合、25日移動平均線がカギとなります。

 ここを超えて本格的に戻りを試しにいくのか、それとも、再び跳ね返される「リターン・ムーブ」となって、もうしばらく調整局面が続くのかの分かれ目になるわけですが、相場の高値圏では、株価が下抜けした移動平均線を早い段階で回復できず、リターン・ムーブの動きによって、天井が形成されてしまうことがよくあります。

 1日(金)時点の25日移動平均線は2万9,516円です。移動平均線の値は日々変化していきますが、少なくとも、日経平均は先週末終値からもう一段階、株価水準を底上げする必要があります。