個人向けの資産運用簡便法を求めて

 筆者は、書籍の改訂作業に伴って、「個人投資家が実行しやすいインデックス投資」についてあらためて考えている。

 これまで過去10年以上に亘って、インデックス・ファンドへの投資を中心とした個人の資産運用簡便法を書籍や記事などで提案してきた。これまでに提案してきたインデックス・ファンドの組み合わせを振り返ると、(A)「国内株(TOPIX[東証株価指数])50%、外国株(先進国株ないし全世界株)50%」、(B)「国内株40%、外国株60%」、(C)「国内株60%、外国株40%」、(D)「国内株50%、先進国株35%、新興国株15%」、(E)全世界株100%、などさまざまだ。

 それぞれの組み合わせに、その時に用いたデータの差や、考え方の差が反映されているのだが、「では、これからどうするのがいいか?」という観点では、(A)〜(E)のどれがいいのかは判然としない。はっきり言って微差だ。やってみる前にどれが最も好結果につながるのかは何とも言えない。頼りなく聞こえるかも知れないが、「〇〇〇がベスト!」と言い切れる確たる根拠がないのだから仕方がない。

 先を急ぐ読者のために、敢えて、筆者の結論を申し上げておこう。

 個人的に最も好みなのは、「国内株40%、外国株60%」だ。グローバルに運用する機関投資家の標準を考えると幾らか国内株式が多いかも知れないが、正直に言うと、長期的に見た場合の日本株のポテンシャル(現在の低評価よりも、現実がマシになる潜在的可能性)が悪くないと思う個人的な「軽い逆張りのいたずら心」が少し含まれている。

 但し、「国内株50%、外国株50%」(公的年金の株式投資部分と同じだ)などと、(個人投資家にとって)大きな差があるようには思えないし、どちらがいいかを決めることは極めて難しい。

 個人投資家へのお勧めとして、一番いいかも知れないと思うのは、(E)「全世界株式100%」だ。リスク低減と機会の分散の観点から、日本株を含む全世界株式が微差でいいと思うが、今や日本を除いたインデックスでも大差がなくなったのは、読者もご存じの通りだ。

「日経平均のみ」よりは「TOPIXのみ」の方が少し良いと思うが、これらの何れかを単独で100%にしたいとは思わないし、「S&P500」を100%持つ運用もお勧めしかねる。