李首相は、中国とイタリアの関係を「全面的、戦略的パートナーシップ」と表現し、両国が、新型コロナウイルス対策で手を携えてきたこと、重点協力プロジェクトにおいて前向きな進展が出ていることを指摘し、貿易投資、エネルギー、気候変動対策といった分野での協力を推進していくこと、G20(20カ国・地域)という枠組みでの協力を強化していく意思を表明しました。

 その上で、李首相は次のようにドラギ首相に語りかけます。

「中国はEU(欧州連合)との関係を高度に重視している。団結、繁栄したEUは世界平和を守り、多国間主義を支持し、自由貿易を推進する重要な力だ。双方が大きな方向性を把握し、開放的な姿勢で実利的な協力を推し進めること、相互尊重の基礎の元、対話と協商で問題や矛盾を解決していくことを希望している。中国・EU間の協力は世界経済の復興にとっても助け舟になる。双方は共同の努力を通じて、中国・EU投資協定にできるだけ早く署名し、成立させるべきである。イタリアがEUの重要な構成員として、中国・EU関係の健康的、安定的な発展に、引き続き前向きな役割を果たすことを期待している」

 これに対し、ドラギ首相は、中国がイタリアのG20議長国としての仕事を支持してきた経緯に感謝の意を表明し、エネルギー、航空、経済、貿易、投資といった分野で協力を深化させ、新型コロナ対策、グローバル経済の復興、気候変動対策などで手を携えていく旨を伝えました。

 また、EU・中国投資協定は双方間の重要な合意であり、イタリア政府として、対話を通じて、できる限り早く、今後の手続きを推し進めることを支持すると語りました。

 私から見て、中国が昨今の国際情勢下で、イタリアをどう戦略的に位置付け、取り込もうとしているかが、この李―ドラギ会談に凝縮されています。以下、具体的に解析していきます。