値上がり率ランキング(5銘柄)

1 ウォンテッドリー(3991・東証マザーズ)

 14日、今2021年8月期の通期予想の上方修正を発表しました。企業の採用予算縮小の影響を考慮し、大幅な最終減益見通しを示していた同社。大きな見通し変化はないものの、最終利益の従来予想(600万円~1億円)の下限のみ2,500万円に引上げ。また、売上高については、従来予想(27億円~31億円)を上回る33億円に増額しています。

 大きなサプライズはなかったように思いますが、株価は想像以上のポジティブ反応に。この上方修正と、発表後の急騰を含む4月第2週の週末16日。この日の信用買い残は4万200株で、前週末の2万2,800株と比べ急増しています。業績材料で急騰したわけですが、機関投資家の買いというより、短期の個人投資家の買いがメインだったといえそうです。

2 メディカルネット(3645・東証マザーズ)

 9日に発表した第3四半期決算では、営業利益が前年同期比2.5倍の2.8億円に。通期予想は3億円ですので、第3四半期時点の進ちょく率は9割を超えています。メディア・プラットフォーム事業、歯医者の支援事業とも好調に推移しているようで、通期予想の大幅な上振れも有力視されています。

 コロナ禍で業績が急伸した一方、時価総額は小さく、バリュエーションも高くなかった同社株。3カ月前の第2四半期決算も抜群でしたが、株価反応が良かったのは今回の決算通過後でした。株価が跳ねるタイミングは読めないため、こういう好業績小型株は長期保有向きということをよく表しています。なお、5月末を基準日とした株式2分割を発表。業績で株価が上向いたタイミングでの発表は絶妙、まさに「鉄は熱いうちに打て」でした。

3 マネーフォワード(3994・東証マザーズ)

 決算通過で、想像以上に株価を切り上げたマザーズの主力グロース株。4月の月間40%高で、時価総額はメルカリ、フリーに次ぐマザーズ時価総額3位に浮上しました。同社が13日に発表した第1四半期決算では、営業損益が前年同期比で黒字に転換。また、SaaSビジネスのグロース株に求められる売上成長についても、前年同期比45%増と納得の伸びを示しました。

 この好決算を受け、ブローカー評価も切り上がっています。一部国内証券では、19日付で目標株価を4,850円から6,100円へ大幅引き上げ。法人向けサービスで、中堅企業の顧客獲得拡大や個人事業主の獲得が再加速し、成長に向けた施策が成果をあげている点などを評価しています。信用買い残を減らしながら株価が大きく上昇しているため、上値を買い上がった主体は機関投資家と見て間違いないでしょう。

4 AmidAHD(7671・東証マザーズ)

 時価総額20億円台の超小型株が、業績サプライズきっかけに急騰。同社の主力は、印鑑のネット通販(「ハンコヤドットコム」)のため、コロナ禍で生まれた潮流である“脱ハンコ”が逆風でした。脱ハンコの流れに逆らって成長するイメージを描きにくく、敬遠していた投資家が多かったことも株価インパクトを大きくしたように思います。

 同社は15日、今2021年6月期の業績予想を大幅上方修正(営業利益は従来の2.5億円→4億円)。印鑑が主力商材とはいえ、巣ごもり需要の恩恵はがっちり手に入れていたようです。業績予想の増額に加え、大幅増配、さらには6月末を基準日といった株式2分割と株主還元策の合わせ技。発表翌日16日はストップ高買い気配で終了、19日に付けた高値1,800円まで水準を切り上げる場面もありました。なお、4月高値1,800円でも予想PER(株価収益率)は18倍以下、脱ハンコに対する根深い警戒でバリュエーションは低く抑えられているようです。

5 フルヤ金属(7826・ジャスダック)

 2008年7月に付けていた上場来高値1万200円に顔合わせ。およそ13年ぶりの高株価を取り戻したきっかけは、業績予想の大幅増額でした。同社は15日、今2021年6月期の最終利益を、前期比ほぼ2倍の50億円(従来予想は29億円)に上方修正。貴金属相場の強含みと、イリジウム製品の需要増による増収効果が理由のようです。

 株価が大台1万円台でも、予想PERは13倍台と割安感があります。好決算を受け、翌16日には一部国内証券が、投資判断を「B」から「A」に一段引き上げ。足元で半導体用センサー需要の高まりなど好材料も多いため、短期収益の変動以外にも目を向けるべき要素は豊富だと指摘しています。