売買代金ランキング(5銘柄)

1 QDレーザ(6613・東証マザーズ)

 人気化した2月IPO銘柄でしたが、新しく登場するIPOへの目移りで短期マネーが離散。流動性が低下した3月後半以降、株価水準を切り下げながら高値圏で作ったシコリの整理が続きました。

 そんな同社株の人気再燃のきっかけになったのが、13日付の一部国内大手証券による買い推奨レポートでした。投資判断「1」、目標株価1,750円での新規カバレッジを受け、同日は前日比21%高、出来高は前日の約7倍に急増しました。同レポートによれば、アイウエアの拡販本格化で黒字化への確度が高まっているほか、シリコンフォトニクスのポテンシャルに注目していると。

2 ベビーカレンダー(7363・東証マザーズ)

 信用規制の新基準が導入(今年3月~)されて以降、直近IPO株の信用規制発動銘柄としてはシキノハイテックに次いで2例目に。6日より東証が信用規制を実施すると発表し、6日は23%安でストップ安となりました。出産・育児関連サイトを運営するIPO銘柄が、政府の「子ども庁」創設検討の報道をきっかけとして(タイミング良く)テーマ株に浮上。小型、値がさ、かつ値動き良好なIPO株として人気化したわけですが、5日の信用取引による新規買い比率が6割を超えていたようで…。

 信用規制の発動を決めた5日を振り返ると、(1)日々公表銘柄に指定されていた、(2)ストップ高で終了した、(3)売買高137万5,600株は上場株数82万9,600株を上回っていた―いずれも、判定基準を満たしていたことがわかります。

3 イメージ ワン(2667・ジャスダック)

 動意付く直前の時価総額が50億円台だったこともあり、材料きっかけに短期間で驚くような急騰劇を演じました。材料が出る前日12日の終値は650円、13~20日に6連騰し、20日に付けた昨年来高値は1,787円でした(わずか6営業日で最大2.8倍に!)。ただし…買い上げていた主体は「個人の信用買い組」。16日に信用規制が発動すると、23日には委託保証金率90%以上(うち現金60%以上)という信用規制の再強化まで発動。揺り戻しは大きく、壮絶な“往って来い”に。

 材料になったのが、13日に同社が、福島第一原発ALPS(多核種除去設備)処理水を想定したトリチウム分離・濃縮実証実験結果に関する記者会見を23日に実施すると発表したこと。東京電力福島第一原発に溜まるALPS処理水を、政府が海洋放出することを決めた直後だったこともあり、短期筋が買い材料視。ただ、信用規制の発動状況を振り返っても、この材料に騒いでいたのは個人投資家だけだったのは確実なようで…。

4 シキノハイテック(6614・ジャスダック)

 信用規制の新基準が導入(今年3月~)されて以降、直近IPO株の信用規制発動銘柄として第1号になったのが同社。1日から信用規制を実施すると東証が発表したのが、3月31日。この日を振り返ると、(1)(3月29日から)日々公表銘柄に指定されていた、(2)ストップ高で終了した、(3)売買高1,160万4,800株は上場株数432万7,000株を上回っていた―いずれも、判定基準を満たしていたことがわかります。

 信用規制が水を差して株価は調整しましたが、東証が13日売買分から信用規制を解除することを決定。衝撃の展開になったのが、規制解除の13日でした。規制解除で株価は急騰したのですが、またしても盛り上がり過ぎ…同日もストップ高、そして売買高は上場株数を上回る953万株を記録しました。結果、14日より信用規制の再発動が決定。東証は機械的に判定しているため、対策としては「危ないときはストップ高に並ばない」が鉄則といえそうです。

5 AIinside(4488・東証マザーズ) 

 月末30日、ストップ安売り気配のまま、大量の売り注文を残して終了しました。前週末時点の信用買い残が金額ベースで140億円と、マザーズ市場でもトップ級の人気銘柄。しかも、株価は昨年11月に9万円台を付けていた、マザーズ屈指の値がさ株でもあります。これほどの値がさのマザーズ人気株のストップ安は、5月の新興株市場に尾を引く可能性もありそうです。

 きっかけは、大口OEM(相手先ブランド名製造)パートナーであるNTT西日本から、大量のライセンス不更新通知を受けたという28日の発表でした。NTT西日本に許諾していたライセンス数は3月末時点で9,284件あったようですが、そのうち5~6月の不更新見込み件数が7,636件あると。この分をNTT西日本が解約すると決めたことで、来期計上を見込んでいたリカーリング売上21.3億円のうち、17.6億円が消滅するようです。解約率の低いビジネスモデルにより、高い売上成長だけを織り込んで超高バリュエーション化していた同社株。それだけに、前提の崩壊がもたらす影響は甚大といえそうです。