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ファンド運用者の高額所得ランキング1位はこの世で最も賢い億万長者
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

ファンド運用者の高額所得ランキング1位はこの世で最も賢い億万長者

2017/10/19
・フィナンシャルタイムズがこの世で最も賢い億万長者と呼ぶジェームス・シモンズ
・債券の帝王ビル・グロースの警鐘
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フィナンシャルタイムズがこの世で最も賢い億万長者と呼ぶジェームス・シモンズ

 2016年のファンド運用者の高額所得ランキングの1位は、ルネッサンス・テクノロジーズの創業者ジェームス・シモンズで、16億ドル(約1,800億円)の報酬を得ている。数学者のシモンズはもう運用から引退しているが、昨年に続いてファンド業界1位の報酬を得ている。10月5日のレポート『24時間コンピューターが仕事をしてくれるアルゴリズムトレード』に書いたが、シモンズは引退しても、彼が作ったチームとコンピューターが24時間仕事をしてくれるのである。

 もう10年以上前から、ネットでファンド運用者の求人を検索すると、英語と物理学が必須と書いてある会社が多い。ジェームス・シモンズは、数学、物理学、統計学などの専門家しかファンドに採用しない。ルネッサンス・テクノロジーズはクオンツ的なアルゴリズム売買と短期売買が特徴で、日本の株式市場でも大量の売買を繰り返している。多かれ少なかれ、今やすべての運用会社に彼の運用哲学は影響を与えている。

 近年、クオンツ運用や高速売買運用は苦戦が続いており、現実はクオンツ運用なら稼げるというわけではない。筆者の関連するファンドのところには、クオンツ運用のファンドの営業マンが頻繁に訪ねてくるという。ミレニアル世代の若いクオンツ達の運用成績は魅力的で、思わず投資しそうになるというが、よく見てみるとドローダウン(運用成績の上下動)がすさまじく、シャープレシオでみたリターンは決して良くない。投資しないでしばらく運用成績を見ていると、こういうファンドは3年以内に大損をするか解散していく。

 債券の帝王ビル・グロースは、「未熟なギャンブラーは2~3ドル勝っただけで得した気になり、カードが不利に転じたときにはすべてを使い果たす」と述べているが、ミレニアル世代の運用者は相場の怖さを知らない人が多い。

 成功している投資家は例外なくシステマティックなトレーディング戦略を使っている

ルネッサンス・テクノロジーズのようなクオンツ運用を、普通の投資家が行うことはまず不可能だ。これができるのは、“ハードウェアを十分に活用できるアプリケーションデザイナーと開発者チームを結成できる潤沢な資金を持つ者たちだけ”(ロバート・パルド)である。

 しかし、「長期的に成功している投資家は、自由裁量トレーダーであれ、システムトレーダーであれ、例外なくシステマティックなトレーディング戦略を使っている」(ロバート・パルド)ということは疑いのない事実である。

 筆者の独断と偏見で言わせていただくと、筆者の運用に最も役にたった本は、コンピュータートレーディングのエキスパートであるロバート・パルドが書いた 『アルゴリズムトレーディング入門 』(著者:ロバート・パルド 2010年パンローリング刊)である。

この本は「アルゴリズム取引入門」というタイトルになっているので、一般の投資家からは難しそうな本だと敬遠され、まったく売れていない。しかし、「本書はシステムトレーダーであろうとなかろうと、いかなるトレーダーにとっても価値のあるものだと信じている。こういうことを言うと驚く人がいるかもしれないが、本書は自由裁量のトレーダー、つまり、システムトレーディングを行なわないトレーダーにもぜひ読んでもらいたい本です」とロバート・パルドは述べている。

 今年の運用では24時間コンピューターが仕事をしてくれるアルゴリズムトレードが好調だ。以下はそのトレードシステムである。


NYダウ(日足)

 


日経平均(日足)

 

ユーロ/ドル(日足)
 

 

ユーロ/円(日足)
 

 

NYダウ(日足)

逆張り売買システム(200日EMAフィルター付きのストキャスティクス)出所:石原順

ユーロ/円(日足)

逆張り売買システム(200日EMAフィルター付きのストキャスティクス)出所:石原順


 
ドル/円(日足)

逆張り売買システム(三角のマークが買いシグナル、菱形のマークが売りシグナルの発生ポイント)出所:石原順


ユーロ/円(日足) 

逆張り売買システム(三角のマークが買いシグナル、菱形のマークが売りシグナルの発生ポイント)出所:石原順


 今回紹介した上記のアルゴリズムトレードは、すべての金融商品に適用できるものではない。相場のトレンドを認識するのに有効な指標は非常に少ないが、近年のトレンド相場衰退の中で、筆者は何をやれば稼げるのかを常に探っている。その結果わかったことは、順張りだけで儲かる時代ではなくなったということだ。順張りだけで儲けようと思ったら、25~50品目の相関関係の高くない商品を取引する必要があるだろう。

 逆張りは相場のトレンドに逆らってポジションをとるので、大きな損失を被る可能性がある。ある意味でとても危険な売買手法である。相場にトレンドが発生したときは、逆張りをすぐに中止しなければならない。

 相場に絶対の法則はない。相場を正確に予測することは誰もできない。筆者も30年にわたり相場と関わってきたが、投資の世界はつきつめてやりだすと、終わりの見えないことばかりなのである。それでも「相場とは一体何か」と言えば、それは「確率に賭けるゲーム」だろう。筆者が心がけていることは、勝つ確率の高い局面で投資を行うということである。みなさん、ストップロス注文をお忘れなく!


債券の帝王ビル・グロースの警鐘

 世の中には、預金・株・債券・為替・コモディティ・不動産などいろんな金融商品があるが、これらはすべて同じものである。すべての金融商品の値段は<キャッシュフローの集合体の現在価値>、簡単に言うとすべて<債券>に置き換えられるからだ。

 たとえば、ドル/円レートは米国の国債と日本の国債の交換、株式は償還期限のない債券である。不動産価格も収益還元法という利回りで決まる。要するにこの世のすべての金融商品は<金利>というファクターでみるとすべて同等に扱えるのである。このメカニズムが理解できないと、現在はドルを買うタイミングなのか、株を買うタイミングなのか、コモディティを買うタイミングなのか、あるいはその商品が割高なのか割安なのかが見えてこない。

 筆者に、債券をベースに金融商品に分散投資する視点を示唆してくれたのは、債券の帝王と呼ばれるビル・グロースである。

「3カ月から5カ月の短期サイクルの予測ではなく、3年から5年先までの世俗的展望に注意を集中すれば、マネーマネージメントにつきものの感情面からの影響力をかなり排除することが可能です」という彼の言葉は運用者の間では有名だが、相場観が当たろうが外れようが、彼はすばらしい運用者だ。筆者はビル・グロースを尊敬している。

 そのビル・グロースが、「FRB(米連邦準備制度理事会)の次期議長にはミネアポリス連銀総裁のニール・カシュカリがふさわしい」と述べている。短期金利の小さな動きでも景気を反転させ得るという懸念からだ。新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックも、「異端な予想だが、ニール・カシュカリになると思う」と述べている。「低金利が好きだ」と発言しているトランプが好ましく思う人物は、最も金融緩和を長く維持してくれそうなカシュカリという見方だ。ただ、ジェフリー・ガンドラックもビル・グロースもカシュカリがFRB議長になる確率は非常に低いとみている。

 今年の7月にビル・グロースは、「中央銀行当局者と投資家はこれ以上の短期金利引き締め、いわゆる『正常化』について用心するべきだ」と市場に警鐘を鳴らした。

【連邦準備制度は2015年12月以降、今年の2回を含めて4回利上げ。短期金利が長期金利より速いペースで上昇すれば、イールドカーブはフラット化する。フラット化はリセッション(景気後退)の前兆とされる。超低金利が非常に長く続いた後だけに、短期金利の小さな動きでも景気を反転させ得るとグロース氏は指摘した。リーマン・ブラザーズ破綻前のサブプライム住宅ローンでわかったように、レバレッジの中で最も有害なのはイールドカーブの短期部分だ。負債を抱える人にとって月間の利払い負担が大きく増えるからだ。米国のイールドカーブは11、12両年の量的緩和(QE)ピーク時に比べ300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近くフラット化したとの分析を示し、「最近数年の緩和的金融政策で『うたげ』を続けてきた米国内外の高レバレッジ経済」はフラットなイールドカーブに耐えられないだろうと論じた。金融当局に対する「ゆっくり進め」との忠告は、これまで長期にわたる低金利の弊害を説いてきたグロース氏にとって、ちょっとした方向転換だ。今は短期の資金を借りている債務者が、経済への最大のリスクだと同氏はみている】(2017年7月20日 ブルームバーグ)

 ITバブル、2007年のサブプライム住宅バブルの崩壊は、政策金利の引き上げが原因だった。いつの時代も政策金利の引き上げがバブルの崩壊につながっていることを頭の隅に置いておくべきだろう。1年以下の国債金利が上がりだしたら、要注意である。債券の帝王ビル・グロースも新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックも、米国のイールドカーブの形状をずっと注視している。


米国のイールドカーブ(左)とS&P500の推移(2000~2017年)

出所:ストックチャーツ

 

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