これだけ覚えてください!2つのポイント

 少し難しくて、分かりにくい話になっているかもしれません。すみません。難しい理屈はどうでもいいですが、とにかく、以下2つのポイントだけ、覚えてください。

 以下2点だけ頭に入れていただければ、後半の説明はやや難解ですが、分からなくても問題ありません。

<ポイント1>日経平均先物6月限の理論値は、329日までは、日経平均の値を約190円下回る。その間、先物が日経平均より190円低い水準にあっても、それは、先安感を表しているのではない。理論値通りに値がついているだけである。

<ポイント2>日経平均先物6月限の理論値は、330日以降は、日経平均とほぼ同値となる。330日以降は、先物と日経平均は、ほぼ同じ価格で取引されることになる。

3月決算の配当金の権利落ち(予想額)は190円

 3月29日まで、日経平均先物(6月限)は、日経平均よりも約190円価値が低いわけです。その理由は、3月期末決算での配当金にあります。

 日経平均(現物)を保有していると、3月決算の配当金の権利落ち日(今年は3月30日)に、配当金を受け取る権利が確定します。ところが、日経平均先物(6月限)を保有していても、3月配当金を受け取る権利は得られません。

 3月末基準の配当金は、約190円と予想されています。したがって、日経平均先物(6月限)は、日経平均(現物)よりも、190円低い値段が付くのです。

 ところが、3月30日以降は、日経平均と先物(6月限)は、ほぼ同値で売買されることになります。3月29日までに日経平均(現物)を買えば、3月末基準の配当金が得られますが、権利落ち日の3月30日以降に買っても、配当金は得られないからです。先物を持っていても、現物を持っていても、3月末基準の配当が得られないのは、同じです。

 したがって、3月30日から6月10日(先物6月限の最終売買日)まで、日経平均先物(6月限)を保有しても、日経平均を保有しても、どちらも3月配当金が得られないという点で、同じになります。したがって、3月30日以降は、両者はほぼ同値で推移することになります。

<参考>日経平均先物(6月限)の理論値の計算方法

 詳しい説明は割愛します。概算値を出す計算式を掲載します。

(日経平均先物6月限理論値)=(日経平均の値)-(6月10日まで日経平均現物を保有することで得られる配当金予想額)+(日経平均現物を購入するのに必要な現金を6月10日まで短期金融市場で運用した時に得られる利息)

 現在、短期金利はほぼゼロなので、金利要因は無視しても大丈夫です。配当落ちは、3月・9月が特に大きいです。6月や12月にもあります。

 東京市場の取引時間中は、日経平均先物が理論値から大きくかい離することはありません。かい離すれば、裁定取引が入り、先物は常に理論値の近くに維持されます。ただし、東京市場の現物取引時間が終了すると(15時以降)、日経平均先物は理論値からかい離して動くようになります。裁定取引が入らないので、大引け後のニュースに反応して、日経平均の理論値から離れて動くわけです。

 今日の説明は、分かりにくくてすみません。途中に掲載した「これだけ覚えてください!2つのポイント」だけ、頭に入れていただければOKです。

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2020年9月24日:「日経平均先物」教室:9月28日まで先物は日経平均より155円低い水準で推移する