売買代金ランキング(5銘柄)

1 BASE(4477・東証マザーズ)

 マザーズ市場の週間の投資家動向では、10月以降とくに、外国人が大きく買い越している週と大きく売り越している週の極端な数字が出ています。BASEは外国人が大きく買い越している週に大きく上昇し、大きく売り越している週に大きく下落しています。完全に外国人動向と相関していますので、海外ヘッジファンド勢がマザーズを買う/売るときの中心的な存在がBASEなのだと思います。11月は外国人が大幅売り越しでしたので、際立って弱かったし、マザーズ全体がリバウンドする場面でも上値が重かった…。

 なお、13日に第3四半期の決算を発表しています。BASEの流通総額は倍増以上で成長し、売上急増で営業黒字に転換しました。ただ、7-9月期だけを切り出せば、BASEの流通総額は4-6月期に比べて減少。コロナ特需の反動が気にされたのと、第4四半期はテレビCMなど広告の積極投下もあるためか、通期予想が据え置かれています。スーパーグロース株として買われてきただけに、ハードルが上がっていた面もありそうです。

2 AIinside(4488・東証マザーズ)

 DX株の中核として最高値を更新してきた銘柄ですが、今期2度目の上方修正発表を受け、さらに上値を切り上げました。11日に発表した今2021年3月期予想を、売上高35.7億円→44.7億円、営業利益10.3億円→18.6億円に大幅増額。顧客のDX化を追い風に、主力サービス「DX Suite」クラウド版などが急成長したようです。

 この発表翌日12日はストップ高買い気配、全株一致した13日も急伸し、最高値で9万6,000円まで付けました(ここをピークに翌日から急失速)。9万円台を付けた13日、この日時点でいえば、東証に上場する全銘柄の中で1番の値がさ株に。東証で一番高い株はファーストリテイリングの8万円台です。あのファストリ株より高い、最低単元100株でも900万円以上! 一般的な投資家が近寄れない存在に…。

3 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 米ファイザーや米モデルナが開発する新型コロナワクチンで、11月に相次いで有効性が確認されました。コロナ感染第3波が表面化するなかで、ワクチン期待が日に日に増し…とくに、ファイザーのワクチンが保管や輸送が大変なこともあって、国産ワクチン待望ムードが強まったこともあると思います。

 アンジェスのワクチンに関しては、13日に米FDA(アメリカ食品医薬品局)から臨床試験の開始許可を得たと発表。また、20日朝、治験施設における治験審査委員会に稟議(りんぎ)・承認されれば、第2/3相臨床試験を開始すると発表しました。ただ、20日の発表は売り材料に。治験を11月に開始し、来年3月まで予定しているとしたことで、「ファイザーなどに比べて遅れている」と冷静な受け止めとなったようで…。

4 JTOWER(4485・東証マザーズ)

 10月急騰で(月間31,9%上昇)最高値を更新し、その勢いが11月も継続(月間29.8%上昇)。昨年12月にIPO(株式の新規公開)、このときの初値2,620円から、1年足らずで株価は3.6倍に! 同社は、日本で唯一の通信インフラシェアリング会社です。5G元年の今年、インフラ投資の加速を追い風とする成長に期待されていた企業ですが、ここまで株価が上がるとは…それが一番の驚きでした。

 株価を後押しする材料も多かったのですが、11日には今期業績予想の上方修正も発表しました。営業利益1.5億円→3億円、最終利益を0.6億円→3億円に大幅増額。予想PER(株価収益率)など株価指標面では説明不能なのですが、前述の通り、日本で唯一(もちろん上場会社で唯一)のビジネスモデルの銘柄です。比較対象となる企業がないわけで、こうしたオンリーワン銘柄の株価の伸びしろにはポテンシャルを感じますね。

5 JIG-SAW(3914・東証マザーズ)

 月の前半に、地合い悪化で急落するマザーズ銘柄が続出。年初来高値をとっているモメンタム株が激減するなか、逆行高する数少ない銘柄に資金が集中する傾向はあります。モメンタムを求める短期資金のターゲットにもなる格好で、株価は2016年5月以来、4年半ぶりに1万円の大台を突破しました。

 株価上昇に弾みを付けたのが、6日に発表した第3四半期決算でした。第3四半期まで累計の営業利益は前年同期比18%減でしたが、7-9月期の売上高の伸び率上昇が好感されたようです。また、17日の後場に、同社米国法人がクアルコムのスマートシティ促進プログラムへの参画が認定されたと発表。モメンタム株となっていたところへ火に油を注いだ格好で、同日の1万1,900円が11月の高値となりました。