11月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 コロナをきっかけに、数年分の動きが凝縮されたような今年の株式市場ですが、11月のブルラリーは強烈でしたね。しかも、主役は日経平均株価でした。11月の月間騰落率は、日経平均株価が+15.0%、TOPIX(東証株価指数)+11.1%で、新興株市場では東証マザーズ指数が+5.2%、日経ジャスダック平均が+3.2%。マザーズも上がったんですが、それもかすんでしまう日経平均の爆上げ…。日経平均の月間上昇率15%というのは、1980年以降を調べてみましたが、この40年間で4位(1位は1990年10月の+20.1%)。2012年末から始まったアベノミクス相場(今はスガノミクス相場?)以降でいえば、2013年4月の11.8%が最大上昇率でした。あの壮絶な日本株ラリーのときより、上がっていたとは…なんという1カ月。

 11月のブル相場は、今年最大の注目イベント“米大統領選”の通過に、新型コロナウイルスのワクチン進展がミックスする形で作られていきました。結果は、大統領選挙はバイデン氏が優勢、議会上院選は共和党が多数派を維持の組み合わせに(まだ確定してませんが)。当初はキャピタルゲイン課税の増税を理由に、株式市場的には「トランプ勝利ポジティブ/バイデン勝利ネガティブ」がコンセンサスだったはずですが…通過してみると株は爆上げ(ねじれ継続だから、とは言いますが…)。それだけ選挙前に株の売りヘッジなどが多く、通過したこと自体がアンワインドの理由になったということでしょうか。

 そこにファイザーやモデルナの開発する新型コロナワクチンの臨床試験の初期結果でグッドニュースが乗っかった格好。これで、「経済正常化期待→米長期金利上昇(債券売り)→グロース株(巣ごもり関連株)売り/バリュー株買い」の大きな波も来ました。米国でも歴史的なリバーサル(バリュー株の多いNYダウ上昇/グロース株のナスダック下落)が発生。日本でも同様のリバーサルが起き、グロース株だらけのマザーズは10日に先物でサーキットブレーカーが発動するほど急落する場面もありました。

 この大きな相場の変化の中で、11月は東証1部市場では「外国人大幅買い越し/個人投資家大幅売り越し」の形になりました。一方でマザーズは、「外国人売り/個人(とくに信用)大幅買い越し」と真逆の形に…。マザーズ主力銘柄の急落場面で、信用買いで逆張りエントリーした個人投資家が急増。その影響が個別にも響き、新興株の上値を月末まで重くしてしまった面もありそうです。

11月の売買代金ランキング(人気株)

 10月までマザーズ最強モメンタム株、かつ最高流動性株として君臨していたBASE。ヘッジファンド勢が一番持っていた株がBASEだったと想像できるわけですが、11月は外国人がマザーズ株を大幅売り越し。ワクチン開発期待から始まったバリュー株買い/グロース株売り(巣ごもり関連株売り)のアンワインド局面で、海運株などがやたら買われる裏側で、BASEなどロング側のバスケットは売りだったと見られます。マザーズ主力のBASEやマクアケ、HENNGE、弁護士コムなど(いずれも10月に大きく上昇した銘柄群)が指数を大きくアンダーパフォームする形になりました。

 コロナポジティブ系の主力ネット株が売られる一方で、ワクチンに注目が集まる中、ひさびさにアンジェスがにぎわいました。また、テーマ株物色も盛り上がり、5G関連のJTOWERが売買を急増させながら最高値を更新。ジャスダックでは、ハーモニックが大きく上昇し、こちらも最高値に。時価総額は8,000億円を超え、メルカリやワークマンを抜いて新興株市場の時価総額トップ銘柄になりました。

市場 コード 銘柄名 11月末
終値
時価総額
(億円)
売買代金
25日
移動平均値
(億円)
月間
騰落率
東証マザーズ 4477 BASE 9,590 2,089 176.7 -14.7%
東証マザーズ 4488 AIinside 68,200 2,593 107.4 17.0%
東証マザーズ 4385 メルカリ 4,780 7,497 105.0 8.6%
東証マザーズ 4563 アンジェス 1,301 1,600 101.6 19.4%
東証マザーズ 4485 JTOWER 9,450 1,947 83.5 29.8%
東証マザーズ 4479 マクアケ 10,720 1,251 75.9 -9.3%
東証マザーズ 2160 ジーエヌアイ 1,948 848 64.2 8.2%
東証マザーズ 4475 HENNGE 7,040 1,127 52.7 -7.4%
東証マザーズ 3998 すららNT 6,380 411 47.8 5.6%
東証マザーズ 3923 ラクス 2,437 4,416 45.6 17.9%
東証マザーズ 6027 弁護士コム 11,290 2,513 45.1 -18.5%
東証マザーズ 4308 Jストリーム 5,850 821 45.0 31.8%
東証マザーズ 4480 メドレー 5,280 1,609 42.2 -9.4%
東証マザーズ 3914 JIG-SAW 9,780 660 41.5 35.8%
東証マザーズ 4478 フリー 9,220 4,476 40.6 11.9%
ジャスダック 2484 出前館 3,265 2,791 39.7 6.0%
東証マザーズ 7779 サイバダイン 887 1,219 36.7 24.2%
ジャスダック 6324 ハーモニック 8,330 8,023 36.5 21.1%
東証マザーズ 4483 JMDC 5,300 2,906 32.5 -3.5%
ジャスダック 7564 ワークマン 9,270 7,587 30.8 0.4%

売買代金ランキング(5銘柄)

1 BASE(4477・東証マザーズ)

 マザーズ市場の週間の投資家動向では、10月以降とくに、外国人が大きく買い越している週と大きく売り越している週の極端な数字が出ています。BASEは外国人が大きく買い越している週に大きく上昇し、大きく売り越している週に大きく下落しています。完全に外国人動向と相関していますので、海外ヘッジファンド勢がマザーズを買う/売るときの中心的な存在がBASEなのだと思います。11月は外国人が大幅売り越しでしたので、際立って弱かったし、マザーズ全体がリバウンドする場面でも上値が重かった…。

 なお、13日に第3四半期の決算を発表しています。BASEの流通総額は倍増以上で成長し、売上急増で営業黒字に転換しました。ただ、7-9月期だけを切り出せば、BASEの流通総額は4-6月期に比べて減少。コロナ特需の反動が気にされたのと、第4四半期はテレビCMなど広告の積極投下もあるためか、通期予想が据え置かれています。スーパーグロース株として買われてきただけに、ハードルが上がっていた面もありそうです。

2 AIinside(4488・東証マザーズ)

 DX株の中核として最高値を更新してきた銘柄ですが、今期2度目の上方修正発表を受け、さらに上値を切り上げました。11日に発表した今2021年3月期予想を、売上高35.7億円→44.7億円、営業利益10.3億円→18.6億円に大幅増額。顧客のDX化を追い風に、主力サービス「DX Suite」クラウド版などが急成長したようです。

 この発表翌日12日はストップ高買い気配、全株一致した13日も急伸し、最高値で9万6,000円まで付けました(ここをピークに翌日から急失速)。9万円台を付けた13日、この日時点でいえば、東証に上場する全銘柄の中で1番の値がさ株に。東証で一番高い株はファーストリテイリングの8万円台です。あのファストリ株より高い、最低単元100株でも900万円以上! 一般的な投資家が近寄れない存在に…。

3 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 米ファイザーや米モデルナが開発する新型コロナワクチンで、11月に相次いで有効性が確認されました。コロナ感染第3波が表面化するなかで、ワクチン期待が日に日に増し…とくに、ファイザーのワクチンが保管や輸送が大変なこともあって、国産ワクチン待望ムードが強まったこともあると思います。

 アンジェスのワクチンに関しては、13日に米FDA(アメリカ食品医薬品局)から臨床試験の開始許可を得たと発表。また、20日朝、治験施設における治験審査委員会に稟議(りんぎ)・承認されれば、第2/3相臨床試験を開始すると発表しました。ただ、20日の発表は売り材料に。治験を11月に開始し、来年3月まで予定しているとしたことで、「ファイザーなどに比べて遅れている」と冷静な受け止めとなったようで…。

4 JTOWER(4485・東証マザーズ)

 10月急騰で(月間31,9%上昇)最高値を更新し、その勢いが11月も継続(月間29.8%上昇)。昨年12月にIPO(株式の新規公開)、このときの初値2,620円から、1年足らずで株価は3.6倍に! 同社は、日本で唯一の通信インフラシェアリング会社です。5G元年の今年、インフラ投資の加速を追い風とする成長に期待されていた企業ですが、ここまで株価が上がるとは…それが一番の驚きでした。

 株価を後押しする材料も多かったのですが、11日には今期業績予想の上方修正も発表しました。営業利益1.5億円→3億円、最終利益を0.6億円→3億円に大幅増額。予想PER(株価収益率)など株価指標面では説明不能なのですが、前述の通り、日本で唯一(もちろん上場会社で唯一)のビジネスモデルの銘柄です。比較対象となる企業がないわけで、こうしたオンリーワン銘柄の株価の伸びしろにはポテンシャルを感じますね。

5 JIG-SAW(3914・東証マザーズ)

 月の前半に、地合い悪化で急落するマザーズ銘柄が続出。年初来高値をとっているモメンタム株が激減するなか、逆行高する数少ない銘柄に資金が集中する傾向はあります。モメンタムを求める短期資金のターゲットにもなる格好で、株価は2016年5月以来、4年半ぶりに1万円の大台を突破しました。

 株価上昇に弾みを付けたのが、6日に発表した第3四半期決算でした。第3四半期まで累計の営業利益は前年同期比18%減でしたが、7-9月期の売上高の伸び率上昇が好感されたようです。また、17日の後場に、同社米国法人がクアルコムのスマートシティ促進プログラムへの参画が認定されたと発表。モメンタム株となっていたところへ火に油を注いだ格好で、同日の1万1,900円が11月の高値となりました。

11月の株価値上がり率ランキング

 10月後半から11月前半にかけたマザーズ市場の地合い悪化(グロース株売り地合い)が尾を引き、11月の値上がり率上位の顔ぶれは大きく変わりました。10月はマザーズの主力級であるAIinsideやJTOWER、TKP、サイバーダイン、GMO-FGなどがランクインしましたが、11月は主力級銘柄の大幅高が激減。時価総額100億円前後の超小型株だらけでした。信用買い残がたまっているマザーズ人気銘柄の需給悪が目立ちました。

 その中で、これまで人気薄だった小型株が上位にランクイン。業績や11月に人気化したテーマ(ワクチンやEV)に関連する材料株が盛り上がりました。2倍化した銘柄はジャスダックのEストアー(4304)1銘柄(※あくまで月末終値比較です)。マザーズからは2倍化した銘柄は出ませんでしたが、東証1部では日本アジアG(3751)、日本金属(5491)、東証2部ではリード(6982)、ファーマフーズ(2929)が2倍以上に。手あかの多く付いたマザーズ人気銘柄より、その他の市場で手あかが少ない材料株で短期売買…そうした傾向が鮮明でした。

市場 コード 銘柄名 月間
騰落率
11月末
終値
前月末
終値価格
時価総額
(億円)
ジャスダック 4304 Eストアー 136.3% 2,814 1,191 145
東証マザーズ 6081 アライドアーキ 93.2% 512 265 72
ジャスダック 5212 不二硝 91.0% 2,750 1,440 59
ジャスダック 6400 不二精機 87.6% 619 330 56
ジャスダック 6626 SEMITEC 85.3% 5,780 3,120 164
東証マザーズ 6255 エヌピーシー 80.2% 728 404 161
ジャスダック 3814 アルファクスFS 74.8% 1,080 618 27
東証マザーズ 3496 アズーム 74.4% 9,400 5,390 137
東証マザーズ 2150 ケアネット 71.9% 5,380 3,130 594
ジャスダック 7760 IMV 68.7% 523 310 89
ジャスダック 7577 HAPiNS 66.0% 269 162 40
東証マザーズ 7317 松屋R&D 64.0% 7,060 4,305 183
ジャスダック 6149 小田原 60.8% 3,760 2,338 240
ジャスダック 7071 アンビス 59.2% 4,720 2,965 1,063
ジャスダック 4800 オリコン 57.3% 1,306 830 198
東証マザーズ 4395 アクリート 53.2% 1,651 1,078 92
東証マザーズ 5070 ドラフト 53.0% 2,371 1,550 109
東証マザーズ 9272 ブティックス 52.9% 2,618 1,712 66
東証マザーズ 3674 オークファン 50.1% 2,140 1,426 226
ジャスダック 7217 テイン 48.5% 916 617 61

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 Eストアー(4304・ジャスダック)

 12日に発表した中間決算をきっかけに急騰。マザーズのEC関連銘柄が苦しむなかで、ジャスダックの低流動性銘柄だった同社株が異彩を放ちました。手あかが少ない銘柄で、流動性が低く、超小型(中間決算を発表する直前の時価総額は60億円台)…そんな銘柄に、短期資金が流れることで需給ギャップが発生したといえます。

 なお、12日発表の中間決算は、売上高がM&A(買収や合併)効果もあって前年同期比2.1倍、営業利益が62%増と大幅増収増益。巣ごもり消費によるEC拡大の波に乗ったのは、他の関連銘柄と同様です(マザーズのEC関連株は好決算でも出尽くし売りになるケースが目立つなか…)。なお、通期の予想に対する進捗率は、中間期の段階で営業利益は94%に到達。通期予想は据え置かれていますが、大幅な上方修正の発表がこの先出ることは濃厚といえそうです。

2 アライドアーキテクツ(6081・東証マザーズ)

 超小型の低位株、これまで人気薄だったこともあって、業績材料をきっかけに急騰。11月の月間値上がり率でマザーズトップでした。13日に今2020年12月期の業績予想の上方修正を発表。売上高は計画未達(コロナ影響で国内外の広告需要が減少)ながら、営業利益は1.0億円→2.3億円へ大幅に増額しました。

 前期まで赤字が続いていたこともあって、変化度合いが大きいと好意的に捉えられたのかもしれません。株価が急騰したタイミングで信用買い残も急増(上方修正の発表前80万株程度→11月27日時点で158万株)。業績を理由に買い上がった投資家のメインは、個人の信用組と推測できます。

3 不二硝子(5212・ジャスダック)

 米ファイザーが開発する新型コロナ感染症ワクチンについて9日、治験で感染防止の有効性が90%を超えたとする暫定結果を発表。ワクチン期待のブル相場に火が付いたわけですが、個別株物色でもワクチン関連株は大盛り上がりに。

 ワクチンの容器に使用するガラス容器を手掛けることで関連株として人気化。18日に付けた高値は4,100円と、前月比で一時2.8倍になる場面も。材料株、恐るべし。

4 不二精機(6400・ジャスダック)

 不二硝子と同じく、ワクチン関連銘柄として人気化。社名に「不二」と付くことにしても、時価総額にしてもよく似ています。不二硝子とセットで知名度を上げました。値動きの軽い材料株として短期資金が殺到。売買のメインは個人投資家で、信用買いが中心です。25日に信用規制がかかると、一旦急落と毎度のパターンに。ただ、ワクチンのグッドニュースが出るとまた材料視され…しばらくネタには尽きないのでしょうか。

5 エヌピーシー(6255・東証マザーズ)

 11月の最大イベント“米大統領選”を材料にして急騰に成功した再生エネルギー関連の低位株でした。大統領選挙でバイデン前副大統領が勝利を確実としたことで、バイデン氏が掲げてきた環境政策の強化への思惑が浮上。環境政策として、充電基地を新たに建設しながら雇用も創出するという考えを示したことも追い風となりました。

 同社のほか、再生エネルギー関連としてはジャスダックのウエストHDも人気化。また、同業でいえば東証1部のアルバックも材料にはされたのですが…低位株による手掛けやすさでエヌピーシーに軍配。

12月に注目したい新興株の動き

 マザーズが輝いた2020年のフィナーレですが、現時点で予想できないことと、現時点で予想できることが混同する12月になります。予想できないことはコロナですね。欧米に続いて、日本でも感染者が増加中。場合によっては、緊急事態宣言の再発動もあるかもしれない…。こうなると、巣ごもりやDX関連のネット株が多いマザーズにはポジティブなのですが、一方でワクチンの進展に期待が広がっています。英国では米ファイザーのワクチンに使用承認が下りました。もうそこまで来ている…米当局FDAの緊急使用許可など、これから大きなニュースが出る可能性があります。

 これが4~10月のコロナラリーと異なる点。コロナ感染者数増とワクチン開発の進展が並走していて、「どっちが勝つのか?」が分からない状態です。とはいえ、12月でいえば、強いワクチンのニュースフローが出てくる可能性があり、その場合の市場反応「米長期金利上昇→グロース株売り/バリュー株買い」が新興株には厄介。その理由は、マザーズはグロース株だらけだから。東証1部であれば、グロース株とバリュー株が混在していて、グロース株が売られて、バリュー株が買われるリバランス(例えばネット株売り/海運株買い)自体は資金流出ではないため、指数影響はほぼ出ません。

 ただ、マザーズの場合は「グロース株売り」だけが残る格好になるため、ストレートに指数下落要因となります。記憶に新しいのが、11月10日のマザーズ指数6.4%安(マザーズ指数先物にはサーキットブレーカー発動)。ファイザーのワクチン初期結果公表を受けて、米長期金利が0.96%に上昇し、これを受けて歴史的な「バリュー株買い/グロース株売り」のリバーサルが発生しました。米長期金利がまた0.9%台に上昇していますので、ワクチンのニュースフロー次第で“長期金利の一段上昇→グロース売り”の極端な動きが発生する不安があります。これが現時点で予想できない問題。ただ、ワクチンにネガティブなニュースが出た場合は、逆に「バリュー株売り/グロース株買い」で反応するはずですのでマザーズには追い風。どっちに振れるかわからない以上、心配してばかりも良くない…ここが難しいところですね。

 あと、現時点で予想できることに関しては、12月特有の需給面でのマイナス要因です。まず、12月は1年で最もIPOが多い月。今年も26社(そのうちマザーズIPOが19社)が決定、17日には1日に5社が同時上場する予定になっています。年末最後の餅代稼ぎでIPOに資金を向ける投機マネー(最近はEV関連や再生エネルギー関連株の低位材料株で短期勝負しているようなマネー)は多いはず。手持ち株を売却して、IPOに資金が向かう分がありますので、その分は既存銘柄にはネガティブ。また、初値買いやセカンダリー勝負で流動性が奪われるため、流動性の低下要因になります。

 もう1点。12月は売りに回る動機として、節税目的の「損出し売り」が挙げられます。手持ちに含み損の状態で持っている銘柄がある場合、年内に実現損を計上すれば利益を圧縮できます。今年は強烈なコロナラリーが発生しましたので、売却益を計上してきた投資家が例年以上に多いはず。そのため、含み損の大きい銘柄を思い切って売却する投資家が多いことを気にしておくべきでしょう。

 ここで注意すべきは、現時点で今年の高値から大幅に値下がりしているような銘柄になります。さらにいえば、個人投資家が多く持っていそうな信用買い残の多い銘柄ですね。例えばですが、マザーズで信用買い残が50億円以上あり、年初来高値からの下落率が3割を超える銘柄でいえば、BASE(4477)、ジーエヌアイ(2160)、アンジェス(4563)、ロコンド(3558)、モダリス(4883)、すららネット(3998)、メドレー(4480)が挙げられます。新興株について、個別で明暗分かれそうだから「業績のいい銘柄の押し目を狙いましょう」とかよく言われますが、業績など関係なく、こうした銘柄ごとの需給状況の差が強く出るはずです。