人気トップ10、アナリストとしての投資判断 

【1】コロナ下で不振でも、積極的に投資したい2社:イオン、ビックカメラ

 イオンは、感染予防のために店舗閉鎖を行った影響で、3-5月は赤字に転落しました。ただし、赤字転落で株価が下がったところは、投資の好機と判断しています。コロナ収束後に、再び経常最高益を更新していく力があると考えているからです。

 総合小売業として、勝ち残りのビジネスモデルを確立したと判断しています。金融(カード事業)・不動産(テナント管理収入)・ドラッグストア(ウエルシアHD)・海外(アジア)が、中長期的に利益成長を牽引すると、判断しています。

 グループ会社の再編(旧ダイエー店舗など不採算店の整理)にコストがかかる(リストラ関連の特別損失が出る)ので連結純利益は低水準が続きますが、再編が完了する4~5年後には、純利益も最高益を更新すると予想しています。

 ビックカメラも、コロナ収束後に、利益回復を見込むので、積極的に投資したいと考えています。中長期的に経常最高益を更新していく力があると判断しています。

【2】コロナ下でも好調、投資して良いと考える2社:西松屋チェーン、ユナイテッド・スーパーマーケットHD

 コロナ下でも、生活必需品を扱う「生活密着型」小売業は好調です。その代表が、食品スーパーを中心としたユナイテッド・スーパーマーケットHDです。外食から家庭食にシフトする人が増えたため、外食業が不振な反面、食品スーパーは好調です。

 家庭食への回帰は、長期的に続くと考えています。コロナが去っても、在宅勤務が日本中に定着していけば、サラリーマンのランチ需要が、構造的に家庭食にシフトしていく可能性があるからです。

 西松屋チェーンも、幼児・子供用品の必需品を扱っており、好調です。子供用品の製造小売業として、中長期的に業績を拡大していく余地があると判断しています。

【3】不振が長引きそう、投資タイミングを慎重に選ぶべきと考える3社:吉野屋、クリエイト・レストランツHD、高島屋

 吉野屋は外食業の生き残りとして、コロナが収束したのち、収益を回復させられると判断しています。したがって、どこかで投資していきたいと考えています。ただし、足元の既存店販売が大きく落ち込んでおり、短期的な回復は見込めないことから、投資はもう少し、先にした方が良いかもしれません。

 一方、吉野家には今年から1つ好材料があります。牛肉の輸入コストが徐々に低下していくことです。今年1月から日米自由貿易協定がスタートしたからです。米国からの輸入牛肉には、これまで38.5%の高い輸入関税がかけられていましたが、1月から26.6%となりました。その後も段階的に関税率が引き下げられ、2033年には9%になる予定です。米国産牛肉を大量に輸入している吉野家に大きなメリットです。

 とはいえ、外食業の不振は長期化しそうです。クリエイト・レストランも、足元の既存店の落ち込みが大きく、投資するには時期尚早と考えます。

 同様に、業績不振が長引きそうなのが、百貨店です。百貨店への投資は慎重に考えた方が良いと思います。高島屋は、百貨店として生き残りのビジネスモデルを作りつつあると考えていますので、どこかで投資タイミングが来るかもしれません。ただし、当面は様子見した方が良いと考えています。

【4】コロナ前から不振、投資は避けた方が良いと考える銘柄:ライトオン

 ライトオンは、コロナ・ショック前から赤字が続いています。ジーンズセレクトショップとしての強みを生かし切れていません。そこに、コロナ・ショックが追い打ちをかけた形です。当分、投資は見送るべきと考えています。