人気トップ10の、四半期業績をチェック

 優待投資を始めようと思っている方に、「優待品の魅力」だけ見て、選ぶ方がいらっしゃいます。株式投資である以上、最低限、足元の業績はチェックしましょう。

 ただし、誤解なきよう申し上げると、「業績を見る」というのは、決して「業績が好調な銘柄だけに投資する」「業績が不調の銘柄には投資しない」という意味ではありません。

 どんな企業も、長い年月の間には、業績が良くなったり悪くなったりします。業績が悪い時は、株価が安くなることが多いと言えます。業績が悪い銘柄でも、将来、回復が期待できるならば、割安で買える好機と言えます。

 今、コロナ・ショックの直撃を受けて、8月の人気優待に多い小売株の業績は軒並み不振です。ただし、コロナ収束後に、業績のV字回復が期待できるならば、業績悪化で売られている今が、投資の好機となります。アフター・コロナで、業績回復が期待できるか否か、判断する必要があります。

8月優待人気トップ10、四半期別の営業利益推移:2019年3-5月期~2020年3-5月期

出所:日経QUICK
注:営業利益は各四半期(3か月)分のみ、小数点2位以下四捨五入、赤字は赤で表示

 ここで、注目していただきたいのは、コロナ・ショックの直撃を受けた2020年3-5月の営業損益です。吉野屋はまだ3-5月の実績を発表していませんが、それ以外の9社のうち、5社が営業赤字です。

 コロナ・ショックのマイナス影響は、2019年11月~2020年2月から出始めていますが、まだ大きな影響にはなっていません。ダメージが大きくなったのは、3-5月からです。

 3-5月の業績を見て、業績の出方から、大きく3つのグループに分けることができます。

【1】    赤字に転落した5社:イオン、クリエイト・レストランツHD、高島屋、明光ネットワークジャパン、ライトオン
【2】    黒字だが大幅減益の2社:ビックカメラ、コメダHD
【3】    業績好調の2社:西松屋チェーン、ユナイテッド・スーパーマーケットHD

 吉野屋は、まだ3-5月の実績を発表していませんが、同社が発表している既存店販売が不振であることを考えると、吉野家は【1】か【2】に入ります。

参考:吉野屋の既存店販売(金額:前年同月比%)

出所:同社月次報告、▲はマイナス

 吉野屋の既存店販売は、2019年はきわめて好調でしたが、2020年の2月以降、急激に落ち込んでいます。まだ回復の兆しが見えていません。