中国景気回復の恩恵は日本の製造業にも及ぶか?

 中国株と、日米株式の動きを、もう少し長い期間で比較しました。世界まるごと好景気といって良かった、2018年初を起点として比較した以下のチャートをご覧ください。

上海総合指数・日経平均・NYダウの動き比較:2017年末~2020年7月13日(NYダウは7月10日まで)

注:2017年末の値を100として指数化

 2018年以降の流れを見ると、上海総合指数は、2018年のアンダーパフォーム(低いパフォーマンス)を2020年に入り、やっと取り戻したところです。

 2018年以降の日米中の株価の動きを、簡単に振り返ります。

【1】2018年
 年初、世界まるごと好景気と言って良い状況でしたが、年末にかけて景況が急速に悪化してきました。米中貿易戦争の影響で、世界中で製造業の景況が悪化しました。製造業への依存が大きい中国にダメージが大きく、中国株の下落率が高くなりました。日本も製造業の構成比が高いので、中国についで、ダメージを受けました。米国は、早くから製造業が空洞化していて、IT・ヘルスケアなどの産業構成比が高いことから、米中貿易戦争のダメージをほとんど受けず、米景気は堅調が続きました。
 景況悪化の差がそのまま株価の差に表れました。上海総合の下げが大きく、ついで日経平均の下げが大きくなりました。NYダウの下げが一番小さく済みました。

【2】2019年
 年末にかけて、米中通商協議が合意に向かい、世界景気が回復に向かう期待が高まり、世界的に株価が上昇しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを停止し、利下げに転じたことから、米国株の上昇が大きく、NYダウは最高値を更新しました。

【3】2020年
 コロナ危機で、世界経済が突然、戦後最悪のピッチで悪化した影響から、世界的に株が暴落しました。これまで堅調だった米国も急激な景気後退に見舞われました。ただし、その後、世界中の中央銀行・政府が、金融・財政政策の大判ぶるまいを始めたこと、感染鈍化に伴う経済再開期待で、株価が急速に反発しています。

 中国株の回復は、日本株を買う時期が近付いているサインととらえる投資家もいます。世界の投資家から見ると、日本株は世界景気敏感株だからです。とりわけ、中国や米国の影響を受けます。