毎週金曜日夕方掲載

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1.半導体製造ラインと露光装置

 今回は、先端半導体の生産に重要な影響を及ぼす「EUV露光装置」について分析します。半導体デバイスと半導体製造装置の業界動向については、2020年3月6日付の楽天証券投資WEEKLY「特集:半導体製造装置(再成長へ。新型コロナウイルスの影響は一時的か)」をご覧ください。

 半導体の製造工程は大変複雑で、半導体生産専用の「半導体製造装置」を使います。半導体製造工程は、ロジック半導体(パソコン、スマートフォンのCPUなど、各種の計算処理を行う半導体)、メモリ(ロジック半導体で計算処理するためのデータを蓄積するための半導体。DRAM、NAND型フラッシュメモリなど)ともに、「前工程」と「後工程」に分かれます。「前工程」は薄くスライスしたシリコンウェハの上に回路を描き込む工程、「後工程」はそのシリコンウェハを四角のチップに切り出し、組み立て、検査する工程です。半導体設備投資の70~80%が前工程への投資と言われています。このため、大手半導体製造装置メーカーの多くが前工程にかかわる仕事をしています。

 図1、2は半導体製造工程の模式図です。シリコンインゴット(塊)を薄くスライスしたシリコンウェハを更に薄く研磨し洗浄して、表面を酸化したり、イオン注入したりして、回路を描き込むための前準備(酸化・成膜)を行います。そして、シリコンウェハの表面に回路を描き込むためにフォトレジストを塗ります。

 その後、露光装置(リソグラフィー)を使って、フォトマスクに描いた回路図を大幅に縮小してシリコンウェハ上に焼き付けます。次に、シリコンウェハ表面を現像して、不要な酸化膜を取るエッチング工程を経て、フォトレジストを取り去ります。その後、酸化・成膜工程→フォトレジスト塗布→露光→現像→エッチング→フォトレジスト剥離、洗浄→酸化・成膜、という一連のプロセスを何回も繰り返して、シリコンウェハ上に回路を重ね書きしていきます。

 シリコンウェハ上に回路を描き終わったら、検査をして後工程に回します。

図1 半導体の製造工程:前工程

図2 半導体の製造工程:後工程